敗者になっても弱者になるな

試験を終えて望んだ結果が得られなかったとき、親として胸が痛むのは当然です。子ども本人も自尊心を傷つけられ、しばらくは気持ちの整理がつかないでしょう。しかし、“敗者”になることと“弱者”になってしまうことは別物です。結果は変えられませんが、その捉え方や学び方で子どもの未来は大きく変わります。

以前こんな生徒がいました。浜松西高中等部受験において合格に至らなかったAさんです。周囲からは「残念だったね」と声をかけてもらうなか、Aさんは結果を真摯に受け止め、気持ちを切り替え「高校入試で、もう一度挑戦するならどう学べばいいのか」と真剣に考え始めたのです。そこから読書量を増やして語彙力を伸ばし、親子で将来像を描きながら「なぜその高校に進学したいのか」を改めて話し合いました。結局その進学先に進みませんでしたが、Aさんは自分で納得のいく進学先を見つけ、今も自ら動機づけをして学び続けています。

大切なのは、その結果をどう受け止めるのかです。落ち込んで終わりにするのか、悔しさをバネに新しい行動を起こすのか。その選択の背後には、子どもを信じて伴走する親の姿勢があります。子どもの可能性の種を発見し、視野を広げてあげるのは親の大切な役目です。ときには挫折を味わうことで、子どもの「グリット(やり抜く力)」を育む絶好の機会になるかもしれません。

結果を変えられないからこそ、親は「次にどう向き合うか」を一緒に考えてあげたい。敗者となっても弱者にはならない、そう信じられる親子関係こそが、本当の意味で人生に勝利する力を育むのではないでしょうか。


2025/02/03 Category | blog 



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