中学受験を勧める理由 – 健全な親子関係の重要性

先日、ある保護者から質問を受けました。「中学受験をさせるべきでしょうか?」

長年の指導経験から、私の答えは「はい」です。ただし、親子関係が健全であることが条件となります。

先日、まなび研究所の生徒の一人が、誰も見ていない時にトイレを丁寧に掃除していました。便座を拭き、洗面台の水滴を拭き取り、トイレットペーパーまで三角に折る。その姿に、私は本当に感心しました。なぜなら、それは親から押し付けられた行動ではなく、自発的な思いやりの表現だったからです。
↓2025年1月23日のブログをお読みください。

この生徒は後に浜松西高中等部に合格しましたが、合格以上に価値があるのは、その過程で培われた「自ら考え、行動する力」です。これは、親子間の信頼関係があってこそ育まれる力なのです。

しかし、残念ながら、中学受験の現場では、時として不健全な親子関係を目にすることがあります。

「うちの子は暗記が苦手で…」と心配する親御さんがいます。でも、本当に心配すべきは暗記力ではありません。むしろ、子どもの「なぜ?」という問いを親が一方的な答えで封じ込めていないでしょうか。子どもの思考する機会を、知識の詰め込みで奪っていないでしょうか。

健全な親子関係とは、互いを尊重し、信頼し合える関係です。子どもの意見に耳を傾け、時には一緒に悩み、考える。そんな関係性の中でこそ、子どもは自分で考える力を育んでいきます。

私が見てきた成功例には、ある共通点があります。それは、親が「教える人」ではなく「共に学ぶ人」として子どもと向き合っていることです。例えば、分からない問題に出会ったとき、すぐに答えを教えるのではなく、「どうしてそう考えたの?」と子どもの思考に寄り添う。そうすることで、子どもは自分で考えることの楽しさを発見していきます。

中学受験は、確かに子どもにとって大きな挑戦です。しかし、それ以上に親子にとって大切な成長の機会となり得ます。なぜなら、受験勉強を通じて、親子で対話を深め、互いを理解し、信頼関係を強めていけるからです。

ただし、これは決して容易な道のりではありません。時には子どもの成長のペースに戸惑い、不安になることもあるでしょう。しかし、そんな時こそ、立ち止まって考えてみてください。

あなたは今、子どもと十分な対話ができていますか?
子どもの「なぜ?」という問いを大切にできていますか?
そして何より、子どもは自分の意志で学ぼうとしていますか?

中学受験は、単なる合格のための準備ではありません。それは、子どもが自立した学習者として成長していく過程であり、親子が互いを理解し、信頼を深めていく貴重な機会なのです。

だからこそ私は、健全な親子関係を築けている家庭にこそ、中学受験を勧めたいと思います。なぜなら、そこには子どもの可能性を最大限に引き出す土壌があるからです。


2025/02/05 Category | blog 



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