自主学習時間が ”週に10時間以上” ある中学生は、成績が良い証拠

「子どもの自主学習、どのように支援すればいいのだろう」──最近、そんな悩みを抱える保護者の方々とお話しする機会が増えています。確かに、子ども(特に中学生)に「勉強しなさい」と言っても、なかなか効果は上がりません。むしろ、親子関係が険悪になってしまうことも。

でも、最近の研究で興味深い発見がありました。自主的な学習時間を確保できている生徒は、単に成績が良いだけでなく、学ぶ力そのものが大きく伸びているというのです。特に注目したいのは、千葉経済大学の実証研究 では、週10時間以上の自主学習を実践する学生が浅い処理(暗記中心)から深い処理(概念理解)へ移行する確率が58%高いことを明らかにした。この認知的転換は、試験問題の応用分野での正答率を平均37%向上させる要因として特定されている。北陸大学の薬学部4年生の学生を対象に行った調査 において、週に7時間以上の自主学習を続けた生徒たちが、テストの誤答率を67%も減らすことができたという調査結果です。

ただし、ここで大切なのは「自主的」という部分。親が強制的に机に向かわせるのではなく、中学生自身が「学びたい」と思える環境をつくることが鍵になります。実は、fMRIを用いた脳機能研究において、自主学習を習慣化した生徒さんの脳を調べると、計画を立てたり優先順位をつけたりする能力が14%も高まっているそうです。 まさに「自分で考える力」が育っているということですね。

ではどうすれば、中学生の自主性を育めるのでしょうか。私が特に効果を感じているのは、中学生が「なぜ?」「どうして?」と考えを巡らせる時間を大切にすることです。つまり、物思いに耽るような時間を作ってあげること。ここでは、親は指示を出さない、アドバイスをしないこと。対話ができる関係ならば、すぐに答えを教えるのではなく、一緒に考えを探っていく。そんな対話の積み重ねが、子どもの学ぶ意欲を確実に育んでいきます。

最適な自主学習時間は、文部科学省の調査によると「学年×15分」が目安とされています。 中学1年生なら105分、3年生なら135分程度です。でも、この時間にこだわりすぎる必要はありません。大切なのは、「濃密さ」です。時間あたりの学習量が多くなるようにしたいですね。ちなみに、文科省の推奨している時間が臨界点となり、これ以上の学習は疲労が蓄積して逆効果を生じるリスクも指摘されているようです。

まずは中学生が自分で「やってみよう」と思える瞬間を、少しずつ増やしていくこと。その小さな一歩が、やがて大きな学びの力となって実を結ぶはずです。

中学生が、自主学習するための勉強方法や時間術をアドバイスしています。

2025/02/17 Category | blog 



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