中3学力調査(令和元年 第2回学調)は知識偏重問題か








令和元年第3学年第2回学力調査問題を全て解き終えました。所感ですが、第一回ほどの変化はなく、旧来の設問に戻った印象を受けました。私が気になった点を3つ挙げます。









・国語の難度が上がった。単に上がっただけで、活用へと発展していく問題はなし。
・数学最終ページは良問。整理しながら考える論理力が問われました。
・全体的に知識偏重の出題傾向だった。





知識偏重ゆえに知識力が高い受験生が有利な問題となりましたね。



しかし、これでいいのでしょうか?





このブログでもお伝えしているとおり、静岡県の高校入試問題は他府県と比較すると、とても簡単です。学力調査問題はこれよりさらに簡単です。他府県では「深い読解」や「複雑な論理」、「オリジナル意見」を問う問題が主流です。知識偏重の出題傾向をいつまで続けるのでしょうか?これでは静岡県の中学生の学力は時代錯誤であり、他府県と差が広がるばかりです。大学受験勉強では遅れをとり、不利になる可能性が高いです。



学調が県下一斉に返却された翌日(12/3)、経済協力開発機構(OECD)の国際的な学力到達度調査「PISA」が公表されました。日本は3年前と比較すると読解力が急落していることがわかるとてもショッキングな内容です。



読解力が低下しているとは、どういうことかお分かりでしょうか?



物事を考える力が弱くなっているということです。そもそも文章を読めないため、直感に頼ることになります。直感では感情に振り回されやすくなるから正誤判断の精度は落ちます。読解力はすべての教科に関わってくることですから、これは重大な問題です。



すぐに解法を求めたり、勉強を暗記だと思い込んでいる受験生が多くなっている裏返しと捉えました。ドリルやプリント類を”こなす学習”に慣れてしまった弊害でしょうか、根本的な勉強へと変換しないと読解力は続落するでしょう。



そのためにもまず静岡県下で行う高校入試問題と学力調査を、国際標準にステージアップすることを望みます。その上で、学んだことを発信、比較、意見を持ち、共有する学習を実践していくべきでしょう。そもそも国際標準を示さなければ、勉強する意義を見出せない時代です。何のために勉強するのか、地球の将来が世界の至る所で話し合われています。勉強の目的が国際標準になれば、受け身の勉強ではなくなるでしょう。



無理難題を言っていると思われるかもしれませんが実際に私たちはこのような授業を20年間行ってきました。授業を受けた小中学生は好奇心旺盛な子へと育ち、高い読解力と発信力を身につけています。小中学生は教科書を超えた世界を知りたがっています。



学調の話に戻しましょう。静岡県校長会の名が表面に記載されている「正答と学習の手引き」によると、「中学3年生にふさわしい学力をどのくらい身につけているか、あなた自身が知ることです」と書かれています。「ふさわしい」とは一体なんでしょうか?知識偏重の試験問題に向けて勉強させることは、すでに場違いです。静岡の高校入試問題と学力調査には、静岡県民のため、日本のため、世界のためにも旗振り役となってもらいたいです。






2019/12/05 Category | blog 



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