浜松西高中等部・静大附属浜松中受験 記述問題の感覚の磨き方

過去問を開いて、お子さんの解答用紙を見る。そこに広がっているのは、びっしりと埋め尽くされた文字。一生懸命書いたのが伝わってきます。でも、採点してみると、半分しか点がもらえない。

「これだけ書いたのに」

そう思うのは、親御さんもお子さんも同じかもしれません。

記述問題は、浜松西高中等部でも静大附属浜松中でも配点が高い。だからこそ、書けることは武器になる。でも、「たくさん書けばいい」わけではないんです。

たとえば、こんな問いがあったとします。
「筆者が自然を大切にすべきだと考える理由を説明しなさい」。解答欄は3行。

【悪い例(82字)】
「筆者は自然を大切にすべきだと考えています。なぜなら自然は私たちに多くの恵みを与えてくれるものであり、自然がなくなってしまうと私たちも生きていけなくなってしまうからです。だから自然を守らなければいけないと思っています。」

【いい例(48字)】
「自然は人間に酸素や水など生存に必要な資源を提供しており、失われれば人類が存続できないから。」

どちらも同じことを言っているのに、伝わり方が全然違う。悪い例は、丁寧に書こうとして同じ内容を繰り返しています。いい例は、「酸素や水」という具体的な数字を含む例を示し、核心だけを抜き出している。

記述問題の採点基準には、必ず「キーワード」があります。この問いなら「資源(または具体例)」と「人類の存続」の2つ。このキーワードが入っているかどうかで、点数は大きく変わる。

長々と書いてしまう子は、優しい子が多いんです。相手に分かってもらおうと、一生懸命説明しようとする。でも、入試の記述は「説得」ではなく「報告」。採点者が求めているのは、「この子は問いの核心を理解しているか」の確認です。

では、どうすればいいか。

まず、書き終えた後に読み直す習慣をつける。そのとき、「この一文、なくても意味が通るかな」と自分に問いかけてみる。削れる言葉、削れる一文は、必ずあります。

次に、数字や具体例を入れることを意識する。「多くの恵み」ではなく「酸素や水」。「昔の人」ではなく「江戸時代の農民」。具体性が増すと、同じ字数でも説得力が段違いに上がります。

そして何より、キーワードを探す力。問題文を読みながら、「この言葉、大事だな」と感じる感覚を磨く。それは、日々の読書で育まれていくもの。文章を読むとき、「筆者が一番言いたいことは何か」を意識する習慣が、記述力の土台になります。

記述問題は、配点が高い分、差がつきやすい。でも、逆に言えば、ここで得点できれば、合格がぐっと近づく。

お子さんの解答用紙を、一度一緒に眺めてみてください。そして、「この一文、本当に必要かな」と、優しく問いかけてみる。削ることは、捨てることじゃない。本当に大切なものを、光らせることなんです。


2025/12/09 Category | blog 



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