中学生の模擬試験「それっぽい答案」が教えてくれること
模擬試験の採点をしていると、ときどき立ち止まってしまう解答があります。
社会の記述問題で、キーワードは並んでいる。文章の形にもなっている。でも、何かが違う。「それっぽい言葉」を並べただけで、本当には理解していない。そんな答案です。
丸をつけるべきか、つけないべきか。部分点は何点か。
でも、採点しながら思うんです。この子は、丸がもらえればいいと思っているんだろうか、と。
点数を取ることが目的になってしまうと、勉強は苦しくなります。テストが終われば忘れてしまう知識を、必死に詰め込む作業になる。
でも、本当は違うはずなんです。
たとえば数学で因数分解を習いますよね。「これ、いつ使うの?」とよく聞かれます。確かに、日常生活で因数分解そのものを使う機会は少ない。
でも、因数分解が教えてくれるのは、「複雑なものを、よりシンプルな要素に分けて考える」という思考法なんです。大きな塊を小さくする。絡まった糸をほどく。
これは、生きていく上で何度も使う思考です。
人間関係のトラブル、仕事での問題、家庭での悩み。複雑に見える問題も、丁寧に分解していけば、解決の糸口が見えてくる。因数分解で身につけた思考は、一生使えるんです。
国語で文章の構造を読み解く力も、理科で仮説を立てて検証する姿勢も、すべて「生きる知恵」になります。
お子さんが「テストのため」だけに勉強していると感じたら、少し立ち止まってみてください。
「この勉強、大人になってどう役立つと思う?」
そう問いかけてみる。一緒に考えてみる。
すぐには答えが出ないかもしれません。でも、そうやって「学ぶ意味」を探す時間こそが、本当の学びになるんじゃないでしょうか。
点数は、学びの結果についてくるものです。まず先にあるのは、「これを学ぶことで、自分はどう変わるのか」という問いです。
その問いを持っている子は、強い。テストが終わっても、学び続けられる。そして、私たち大人こそがこのことを示したい。
解答用紙を見ながら、私はいつもそう思うんです。
2025/12/10 Category | blog
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