【12/2付】意見を育てるニュース教室:小学生が『台湾有事』を激論した日
遠州のからっ風が、少しずつ冬の気配を運んでくるようになりましたね。
日々、お子さんの背中を見守りながら、「この子は将来、どんな大人になるのだろう」と、ふと想いを馳せることはありませんか?
私たちの教室には、「意見を育てるニュース教室」という時間があります。
先日、担当の小川先生から届いた授業報告を読み、私はしばらくその場から動けなくなるほどの衝撃と、そして静かな感動を覚えました。
その日のテーマは、なんと「台湾有事と日本の安全保障」。
大人でも意見が割れ、答えを出すのが難しいこの難題に、小学生のお子さんたちが真っ向から挑んでいたのです。
「まだ小学生には早すぎる」
「どうせネットニュースの受け売りだろう」
もし、私たちがそんな風に高をくくっているとしたら、それは大きな間違いかもしれません。
教室では、真剣な眼差しが飛び交っていました。
「中国とは関係を悪化させないよう向き合うべきだが、従う必要はない」というS君。
「戦争に巻き込まれないよう、不戦条約を結んで関係を築くべきだ」と平和を希求するKさん。
「アメリカとの関係を保つことが安心に繋がる」と現実的な外交を見据えるT君。
そして、「日本はアメリカを守れないのだから、深入りすべきではない」と鋭い指摘をするSさん。
誰一人として、誰かの意見に流されることなく、自分の頭で考え、自分の言葉で語っていたのです。
かつて、大人の顔色を窺い、世論に流されてしまった悲しい歴史が嘘のように、彼らの思考はあまりにも健全で、そして強靭でした。
私たちは、いつの間にか「子供だから分からない」というフィルターをかけ、彼らの可能性という「原石」を曇らせてしまってはいないでしょうか。
「危ないから」「難しいから」と、思考の機会を奪うことは、彼らが自ら根を張り、幹を太くしていく力を削ぐことにもなりかねません。
正しい知識という土壌さえあれば、子供たちは驚くほどの吸収力でそれを養分とし、大人顔負けの果実を実らせます。
大切なのは、教え込むことではなく、彼らの中にある「知りたい」「考えたい」という種を信じ、水をやることなのかもしれません。
食卓でニュースが流れたとき。
「あなたはどう思う?」と、一人の人間として問いかけてみてください。
きっと、親である私たちがハッとするような、本質を突いた言葉が返ってくるはずです。
お子さんの心の中には、私たちが思う以上に広く、深い世界が広がっています。
その世界の扉を、ほんの少し開いてみる勇気。
それが、親子の絆をより深く、温かいものにしてくれる気がしてなりません。
今日も、まなび研究所では、子供たちの頼もしい「熱」が溢れています。
そんな彼らの言葉に耳を傾ける時間が、私は何よりも好きです。

2025/12/04 Category | blog
