浜松西高中等部・静岡大学附属浜松中受験生へ ― 過去問3周目で見えてくるもの

過去問を繰り返し解くことで、受験生本人が本当の弱点に気づける。

これは、小6受験生への過去問ガイド浜松西高中等部の作文添削をしていて、いつも感じることです。

過去問の1周目は、ただ問題と格闘している状態です。「わからない」と「わかる」が混在していて、自分でも何がわかっていないのか、実はよくわかっていない。時計の針を気にしながら、とにかく解き終えることに必死なんですね。

2周目になると、少し景色が変わってきます。「ああ、ここは前も間違えたな」という箇所が見えてくる。解説を読み直して、「そうか、こう考えるのか」と納得する。でも、まだ「なぜ自分は間違えるのか」という本質までは掴めていません。

そして3周目。ここで初めて、自分の思考の癖が見えてくるんです。

たとえば算数で、いつも「比」の問題でつまずく子がいました。解説を読めば理解できる。ノートにもきちんと書いてある。それなのに3周目で同じ間違いをする。そのとき本人がハッとするわけです。「あ、僕は比の意味を、本当の意味ではわかってないんだ」って。

作文も同じです。浜松西高中等部の作文問題を添削していると、1回目はとりあえず書けている。字数も埋まっているし、形にはなっている。2回目は少し文章が整ってくる。構成も意識できるようになる。

でも3回目で、ようやく「自分は具体例を書くのが苦手なんだ」とか「実は主張と理由がずれているんだ」と気づく子が多いんです。それも、私が指摘する前に、自分で気づく。この「自分で気づく」というのが、とても大切なことなんですね。

この気づきが、残りの受験勉強を変えていきます。

比が苦手だとわかれば、そこを重点的に学び直せる。作文で具体例が書けないと気づけば、日常の中で「たとえば?」と考える習慣がつく。弱点が明確になることで、やるべきことが見えてくるんです。

親から見て、同じ問題を何度も解かせるのは非効率に見えるかもしれません。「もっと新しい問題を解いたほうがいいんじゃないか」と思われることもあるでしょう。

でも、その繰り返しの中でしか見えてこないものがある。

お子さんが「またこれ間違えた」とつぶやいたとき、それは決して後退ではありません。むしろ成長のサインです。自分の弱さに向き合える強さが、少しずつ育っているんです。

そんな姿を、そっと見守ってあげてください。

入試まで残り1ヶ月ほどになりました。今、見つかった弱点は、まだ間に合います。表面的な暗記ではなく、ちゃんと理解して本番に臨めるかどうか。それが、試験会場での落ち着きにもつながっていきます。

焦らず、でも着実に。お子さんが自分の課題と向き合っているなら、それは確実に力になっています。受験生の皆さんを応援しています。


2025/12/03 Category | blog 



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