過去問で“具体的に書く”と言われたとき、どうすればいいの? 記述問題が苦手な受験生に試してほしい「禁止ワード」という練習法
先日、ある受験生がぽつりと言いました。
「過去問の記述で”もっと具体的に書こう”と言われるけれど、そもそも具体的ってどういうことですか?」
その言葉を聞いたとき、ああ、そうだよなと思ったのです。「具体的に」なんて、大人でも曖昧な言葉ですから。
そこで私は、その子にこう伝えました。
「まず、禁止ワードを作るところから始めてみよう」
抽象語をやめてみると、文章が動き出す
文章がぼんやりしてしまう理由。それは「すごい」「いろいろ」「一生懸命がんばった」といった、便利だけれど中身のない言葉に頼っているからです。
これらは気持ちを伝えるにはいいけれど、読み手の心には何も残りません。
だからこそ、まずはこれらを使わない練習から始める。禁止ワードにしてしまうのです。
では、それをどう言い換えるのか。いくつか例を見てみましょう。
①「先生はすごい」を言い換えると
先生は僕のどこを直せばよいかを的確に指導してくれた。
例えば、読解問題では「根拠となる言葉を必ず本文から見つけること」を教わった。
それをすぐに言えるのは、先生が日頃から一人一人の取り組みを丁寧に見てくださっているからだと感じ、心から尊敬の気持ちが湧いた。
ただの「すごい」が、先生の姿が見える文章になりました。
②「放送委員のいろいろな準備」を言い換えると
運動会の放送の仕事のために、前日にはどんな放送内容にするか話し合った。
当日の流れをみんなで確認し、原稿を作り、読み上げるスピードや声の大きさも調整した。
これらの準備を重ねることで、本番を安心して迎えることができた。
「いろいろ」では想像できなかった景色が、くっきりと浮かんできます。
③「一生懸命がんばった」を言い換えると
練習が終わってからも、家の庭で毎日1時間ドリブル練習を続けた。
その結果、左手のドリブルがスムーズにできるようになった。
“どれだけ””どんなふうに”が入った瞬間、その子の姿が目に浮かぶようになるのです。
文章は、日常の言葉から生まれる
記述問題だけで急に具体的に書こうとしても、なかなか難しい。
だから、まずは日常の会話から抽象語を使わない練習を始めてみてください。
- 「すごい!」→ 何が?どこが?
- 「いろいろあって…」→ 何があった?
- 「一生懸命やった」→ どれくらい? どうやって?
こうした問いかけを習慣にすると、お子さんの言葉は少しずつ変わっていきます。
そして、その変化は文章にも、自然と現れるものです。
記述力は、遠い場所で磨かれるものではありません。
今日の夕食の席で、「今日の給食、おいしかった」という一言を、「今日はカレーで、ルーが甘くて好きだった」と言い換える。そんな小さなやりとりから、育っていくのだと思います。
2025/12/12 Category | blog

