家族で取り組む 読書のすすめ
先日、塾生たちに夏期課題の図書リストを手渡しました。小学生には10冊、中学生には12冊。一冊一冊に込めた思いを、保護者の皆さまにもお伝えしたいと思います。
本を読むことは、新しい世界との出会いです。登場人物の喜びや悲しみに共感し、思いもよらない発見に胸を躍らせ、時には困難に立ち向かう勇気をもらう——そんな豊かな体験が、子どもたちの心を確実に育んでいきます。
ある日のこと。塾で読書の時間を設けたとき、一人の生徒が手に取った本が『マザー・テレサ』の伝記でした。読み終えた後、その生徒は「困っている人を助けたい」とポツリと呟きました。その言葉を聞いた瞬間、私は読書の持つ力を改めて実感したのです。
実は、読書には「共感力」を育む大きな力があります。物語の登場人物の気持ちに寄り添うことで、現実の世界でも相手の立場に立って考えられる心が育まれていくのです。それは、将来社会で活躍するための何よりの財産となるはずです。
この夏休みは、ぜひご家族で読書の時間を共有してみてください。例えば、夕食後の30分を「家族読書タイム」にしてみるのはいかがでしょうか。親子で同じ空間で本を読む。その静かな時間の共有が、実は子どもたちの心に深く残るものなのです。
読み終えた後は、感想を語り合う時間を持つことをお勧めします。「どの場面が心に残った?」「もし自分だったら、どうする?」──そんな問いかけから始まる会話は、子どもの思考を深め、新たな気づきを生み出します。答えを急がず、子どもの言葉に耳を傾けることで、親子の絆も自然と深まっていくことでしょう。
私は時々、生徒たちにこんな話をします。「君たちの中には、きっと未来を変える力が眠っている」と。その力を引き出すために、私たち大人にできることは何か。それは、子どもたちの「知りたい」「考えたい」という芽を大切に育てること。その芽を育てる最高の養分が、実は読書なのです。
この夏、お子さまと一緒に本の世界を旅してみませんか。その旅の途中で見つけた発見や感動が、きっと大きな財産となって、お子さまの未来を豊かに彩ってくれるはずです。
2024/07/05 Category | blog