塾長古橋が、令和7年度静岡県公立高校入試問題を読み解く
入試が終わり、ようやく一息ついた中3受験生のみなさん、本当にお疲れさまでした。不安と緊張の日々を乗り越え、最後まで頑張り抜いた姿に心から敬意を表します。そして、陰で支え続けてきたご家族のみなさんも、さぞかし心労が多かったことでしょう。どうかこの時間を、これまでの道のりを振り返る穏やかなひとときにしてください。
早速、私も入試問題を解いてみましたが、出題にパターンがあり、正直言って、なんだか物足りなさを感じてしまいました。
確かに令和7年度の静岡県公立高校入試問題は、どの教科も出題傾向がある程度パターン化されています。過去問を繰り返し練習すれば解けるような問題が多く、中学生の思考力や発想力を十分に試す内容になっていないように思えます。
各教科の傾向と課題
国語は例年通りの出題形式で、語彙力や知識を必要とする問題と読解力を問う問題がほぼ同数出題されています。記述問題では本文中の言葉を引用すれば答えられるものが多く、深い思考力までは求められていません。
数学では、空間図形、関数、証明で難易度が上がり、全体として昨年よりやや難化していますが、基礎・標準的な問題が中心です。
英語では条件英作文の字数が12語以上から15語以上へと少し増え、大問3の自由英作文は基本的な内容でした。英文には中学で履修する文法がふんだんに使われており、単語・熟語の知識と文法を使いこなす経験が必要とされています。
理科は昨年同様に実験・観察に主眼を置き、基本的な知識問題から発展・応用問題までバランスよく出題されていますが、計算問題が増え、論述問題が減少しています。
社会は公民で記号問題が多数出題され、記述問題が減りました。全体的に記号問題での難易度が上昇しています。
考えさせられる課題
私はかねてから思うのですが、「制約があるからこそいろいろなアイデアが生まれる」ものです。しかし、現在の入試問題はまるでヒントのような条件が多すぎて、いわば道標のようになっています。それで深く広く思考しなくても解けてしまうのです。
特に気になるのは、社会課題について思考する問題があまりにも少ないことです。中学生に社会課題を解決する思考力を育むためには、もっと現実社会と結びついた問題を出題すべきではないでしょうか。
ある生徒が「先生、この問題、パターンがわかると簡単に解けますね」と言ったとき、少し複雑な気持ちになりました。簡単に解けることが必ずしも良いことではないと思うからです。
より良い入試問題への提案
中学生にもっと思考や工夫を求める出題になるよう、パターンを崩した予想しにくい問題を作るべきではないでしょうか。例えば:
- 教科横断的な問題を増やす
- オープンエンドな問題を導入する
- 社会課題を題材にした問題を出題する
- 複数の解法が可能な問題を作る
「混沌を消し去ってはいけない」という言葉を私はよく使います。あまりにも整理された問題ばかりでは、実社会で直面する複雑な課題に対応できる力は育ちません。
入試問題は単に知識を問うだけではなく、未来を担う子どもたちの思考力や創造力を育むものであってほしいと思います。それこそが、本当の意味での「学力」ではないでしょうか。
2025/03/07 Category | blog