「この問題、塾でやってない」と子どもが焦るとき。合否を分ける「はじめの5分」と、親が手渡せる最強のお守り
1月8日の県学力調査、そして1月10日の中学入試。 カレンダーのその数字が近づくにつれ、遠州の冷たい風が、いつもより少しだけ肌に突き刺さるように感じるかもしれません。
これまで積み上げてきたテキストの山、すり減らした鉛筆の数。 それらは間違いなく、お子さんの力になっています。 しかし、入試本番や診断テストという場所には、時に「魔物」が潜んでいます。
それは、「見たこともない問題」という顔をして現れます。
「これ、塾で習ってない……」 「テキストのどこにも載ってなかった……」
そんな言葉が頭をよぎった瞬間、子どもの思考はフリーズします。 心臓の音がうるさくなり、真っ白になった頭で時間だけが過ぎていく。 この「未知への恐怖」こそが、実力を発揮できなくさせる最大の敵であり、合否を分ける分水嶺です。
なぜ、子どもたちはこれほどまでに「初見」を恐れるのでしょうか。
それは、「勉強には必ずどこかに正しい答えがある」と思い込んでいるからです。 勉強を固定された知識の暗記だと思っていると、自分の引き出しにないものが出た瞬間、手も足も出なくなってしまうのです。
でも、少しだけ視点を変えてあげてください。 これから彼らが生きていく社会には、教科書通りの答えなんてありません。 この入試は、そうした「答えのない問い」に立ち向かうための、人生のリハーサルなのです。
では、魔物に飲み込まれそうになったとき、どうすればよいのか。 具体的な「戦い方」が一つだけあります。
それは、「はじめの5分」に一番力を注ぐことです。
焦る子ほど、開始の合図と共に鉛筆を動かし、答えを埋めようとします。 しかし、伸びる子、本番に強い子は違います。彼らは最初の5分間、書くことよりも「見ること」に徹します。
問題全体を、高い空から見下ろすように眺めるのです。 出題者は何をさせたいのか。この文章の骨組みはどうなっているのか。 「答え」を探すのではなく、問題の「構造」をつかむ。
この「はじめの5分」の使い方ができれば、初見の問題は「怖いもの」から「解き明かすべきパズル」へと変わります。
そして、もう一つ大切な心構えがあります。 それは、完璧を目指さないことです。
「見込み6割」で意思決定し、残り4割は行動しながらカバーする。
難問を前にして、最初から100%の正解への道筋が見えることなど稀です。 「たぶん、こっちだろう」という6割の確信で、まずは手を動かし、図を描いてみる。 リスクを取らなければ、現状維持すら不可能です。
もし、お子さんが試験前日や当日の朝、不安で押しつぶされそうになっていたら。 親御さんにできることは、解法を教えることでも、「頑張れ」と背中を叩くことでもありません。
ただ一つ、「最強のお守り」を手渡してあげることです。
それは、言葉に出さずとも伝わる、絶対的な信頼です。
「キミの人生を運転するのは、キミしかいない」。
ハンドルを握っているのはお子さん自身です。 どんなに道が険しくても、未知のカーブが現れても、キミならハンドルをさばける。 親御さんが助手席からハンドルを奪うのではなく、「キミの運転なら大丈夫だ」と、どっしりと構えていてあげること。
そして、結果がどうあれ、あなたの価値は変わらないという「無償の愛情」を感じさせてあげること。
それさえあれば、子どもは恐怖を乗り越え、自分の足でゴールへと走り抜けることができます。
1月8日、1月10日。 お子さんが試験会場へ向かうその瞬間。 「行ってらっしゃい」の声に、ありったけの信頼と愛情を込めて送り出してあげてください。
その声こそが、どんな難問にも負けない、最強のお守りになるはずですから。
2026/01/05 Category | blog
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