【令和7年度浜松西高中等部入試分析】机上の空論は通用しない。「生活の解像度」が合否を分ける決定的理由。去年の入試問題から見えること。

今日は、令和7年度の適性検査問題から見えた「一つの重要な事実」についてお話しします。

あれこれ言いません。テーマは一つです。

それは、「生活実感のない子は、この入試で勝てない」ということです。

今年の入試問題が私たちに突きつけたのは、偏差値や暗記量ではありません。

「君は、教科書の外側にある『リアルな生活』を、どれだけ解像度高く見ているか?」

この一点に尽きます。

なぜそう言い切れるのか。

令和7年度の入試問題にある具体的な問題を深掘りしながら、その本質と、ご家庭で今すぐできる「視点の転換」についてお伝えします。


「なべつかみ」が暴いた、本当の国語力

象徴的だったのが、問題Ⅱで出題された家庭科のシーンです。

「なべつかみ」を作る計画書の中で、「感謝」「綿」「厚い」といった漢字を書かせる問題がありました。

これを単なる「漢字の書き取り問題」だと思ったら、大きな誤解です。

なぜなら、ここには「文脈としての生活」があるからです。

  • なぜ「感謝」なのか? → なべつかみは、誰かのために作るものだからです。
  • なぜ「綿」なのか? → 熱に強く、肌触りが良い素材を選ぶという、生活の知恵が必要だからです。
  • なぜ「厚い」のか? → 熱い鍋を持つための機能性を理解しているかどうかが問われているからです。

もし、お子さんが普段から「料理は出てくるもの」「服は洗濯されてタンスに入るもの」と、生活を受動的に捉えていたらどうでしょう。

「アツい」と聞いて、情熱の「熱い」や、気温の「暑い」を書いてしまうかもしれません。

「ワタ」と聞いて、植物としての綿花しか浮かばないかもしれません。

この問題が問うているのは、「漢字を知っているか」ではありません。

「その言葉が使われる『生活の場面』を、ありありとイメージできているか」です。

生活の手触り、匂い、温度。それらが伴って初めて、生きた言葉としてアウトプットできるのです。

数字の向こうに「風景」が見えるか

この「生活実感」の有無は、算数や社会の問題でも残酷なほどに差を生みます。

例えば、静岡県のお茶の生産量や、工場のデータを分析する問題。

計算自体は難しくないかもしれません。

しかし、ここで求められたのは、「従業員300人以上の工場は少ないのに、生産額の半分以上を占めている」というデータから、「効率性」や「スケールメリット」といった概念を見つけ出す力です。

これは、普段ニュースを見たり、街を歩いたりする中で、

「なんで大きなショッピングモールばかり混んでいるんだろう?」

「商店街のお店とは何が違うんだろう?」

といった、世の中の仕組みに対する「なぜ?」のストックがないと、なかなか辿り着けない視点です。

数字をただの記号として処理する子は、計算はできても「意味」を語れません。

一方で、数字の向こうに「働く人々の姿」や「社会の動き」という風景(イメージ)が見えている子は、問われたこと以上の深い洞察を回答用紙にぶつけることができます。

私が大切にしている「構造理解」とは、まさにこれです。

一見無機質なデータと、生々しい現実世界を、頭の中でリンクさせること。

それができる子が、適性検査を突破していくのです。

「勉強」と「生活」の壁を壊そう

では、残された時間で何ができるのでしょうか。

特別な問題集を買い足す必要はありません。

必要なのは、「日常のすべてを教材化する」という意識の転換です。

例えば、夕食の買い物。

「なんでこの野菜、急に高くなったんだろう?」(需要と供給、天候の影響)

「このパッケージ、なんでこんな色なんだろう?」(消費者心理、デザインの意図)

お風呂上がりの一コマ。

「鏡が曇るのはなんで?」(飽和水蒸気量、結露)

「ドライヤーの風、強くすると音が変わるね」(空気の振動、エネルギー)

親御さんがすべきは、教えることではありません。

お子さんの目の前にある「当たり前の日常」に対して、「これ、面白くない?」「不思議じゃない?」と、問いのタグ付けをしてあげることです。

勉強机に向かっている時間だけが勉強ではありません。

リビングで、キッチンで、車の中で。

親子で交わす何気ない会話の中に、「生活の解像度」を上げるチャンスは無数に転がっています。


令和7年度の入試問題は、学校側からの熱烈なラブレターです。

「教室の中だけでお利口にしている子はいらない。

生活の中で五感を使い、不思議がり、考え、発見できる子が欲しい」

そう言っているように、私には聞こえます。

どうか、焦らないでください。

「勉強しなさい」と言う代わりに、今日の夕飯の鍋を見ながら「なんで土鍋って冷めにくいんだろうね?」と聞いてみてください。

そのたった一つの問いかけが、お子さんの脳内で理科と生活をつなぎ、入試本番での「あ、これ知ってる!」という閃きに変わるかもしれません。

生活のすべてを味方につけた受験生は強い。

私はそう確信しています。

皆さんの日常が、最高のマナビの場となりますように。

心からのエールを送ります。


2026/01/07 Category | blog 



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