13歳からのアート思考と、受験勉強


2000年、まなび研究所を始めるときにこれだけは絶対にすると決めていたことがありました。それは塾の壁に大きな絵を飾ること。



最初に選んだ絵は、90年代に世界を席巻したアメリカの画家トーマス・マックナイト。彼が創り出す色の鮮やかさ、特に緑と青の色使いが好きでした。この色使いから癒しを感じながらも、自分は何者にもなれるんだと将来を明るく照らしてくれるような開放感が心地よく、塾に通う子どもたちの創造力のスイッチをオンしてあげられるのではないかと思ったものでした。



さて、遅ればせながら昨年話題になった ”「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考” を読みました。内容に賛否両論あるようですが、どの立場で論ずるのかにより大きく捉え方が変わりそうです。私は受験勉強の観点で論じます。



本書のアート思考と受験勉強で使う思考が合致していない。だからこそ13歳から身につけてほしい思考なのでしょう。



整理しましょう。アート思考が非認知能力であり、受験勉強が認知能力です。本書では「問いそのものを生む人、正解だけを導く人」と表現しているところがありますが、塾人からすると13歳の思考をうまく言い当てられているように思います。受験勉強に問いそのものを生み出させる問題はほぼありません。むしろ、答えは一つ、正解が求めらる問題がほとんどです。現状13歳からは認知能力の思考トレーニングがほとんどです。しかし、これには問題があります。今こそ自ら問いを立て創造力を働かせるときだと私は思います。



下降経済の中では、答えが決まっているものに価値を見出しにくいです。新たなる手を打てないでいる日本社会の中にどっぷり浸かってしまったら、それこそ生きにくくなります。今は新たなる手を打てる人材を育成することが急務なのです。早く教育が創造力中心にシフトすることを願いたいです。











受験生がこの本を読むと、カルチャーショックを受けアート思考に価値を感じにくいのではないだろうか。でも、日本の教育が認知能力中心だから仕方がないのでしょうね。今、塾の壁に飾られている絵はピカソです。新しい表現方法を創り出したエポックメイキングな存在として誰しもが知る天才画家。彼も戦時下という混沌とした世の中から創造力を存分に使って才覚を表しました。まなび研究所からピカソのような人材を育てたい。そんなことを感じながら、本書を読みました。




2022/01/31 Category | blog 



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