中学生の決断力と自立心を育むとき

中学生たちの姿を見ていると、複雑な気持ちになることがあります。

「今日は何の教科から始める?」「この問題集をいつまでに終わらせる?」「テスト勉強は何日前から?」
そんな学習の計画を立てる場面で、戸惑う表情を見せる子どもたち。その姿に出会うたびに、私は立ち止まって考えてしまいます。

「決める」という行為は、どのように育まれていくのでしょうか。

ある中学生の物語

昨年の夏、ある中1男子との出会いが私の考えを変えました。普段は「言われた通りにする」ことが「よい子」だと思っていた彼が、その日、初めて自分で学習計画を立てることに挑戦しました。

最初は躊躇していました。「先生、これでいいですか?」と何度も確認してきた彼でしたが、徐々に自分なりの考えを持ち始めました。

「土日は午前中に集中して勉強して、午後は休みたいです」
「平日は部活の後、疲れているから軽めの教科にしようと思います」

自分の生活リズムを考えながら、学習計画を組み立てていく姿に、私は気づかされました。正解を教えることよりも、自分で考える機会を作ることの大切さを。

その後の彼は、少しずつ変わっていきました。
計画を立てる時も、「これでいいですか?」という確認から、「こういう風に考えたんですけど」という提案へと変化していきました。
時には、思い通りにいかないこともあります。でも、その経験も次の計画に活かしていくようになりました。

その姿を見ていると、私の中にも問いが生まれます。

「決断力」は、どのように芽生えていくのでしょうか。

日常の中の小さな決断

机に向かう中学生。
「今日は何の科目から?」
「この単元にどれくらい時間をかける?」
「休憩はいつ取ろう?」

一つひとつの選択に、中学生たちの思考が働いています。

私の中の葛藤

中学生が決断する場面に出会ったとき、私の心の中には、様々な思いが交錯します。

すぐに最適な学習計画を提示したくなる気持ち。
非効率な選択を防ぎたい思い。
より良い方向に導きたい願い。

でも、ふと立ち止まって考えてみると…

中学生の「決める」という行為の中に、どんな思いが込められているのでしょうか。
その決断の裏側で、どんな考えが巡らされているのでしょうか。
決断を重ねることで、中学生たちの中に何が育まれていくのでしょうか。

子どもの立場で考えてみたい問い

  • 子どもが自分で立てた計画と、大人が作った計画では、その後の学習意欲に違いはあるのでしょうか
  • 「効率の悪い計画」と「効率の良い計画」は、誰が決めているのでしょうか
  • 計画を立てる機会を増やすことは、本当に自立につながるのでしょうか
  • 私たち大人は、子どもの決断にどこまで関わるべきなのでしょうか

これらの問いについて考えることが、大人の私たちに新しい視点や気づきをくれるのかもしれません。
「決断力」は、決めることの繰り返しで身についていきます。子どもの成長を願いながら、ときに手を出し過ぎてしまうことがないか、この生徒を通して考えさせられました。

今夜、お子さんの姿を見つめながら、あなたならどんなことを考えますか?


2025/01/27 Category | blog 



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