【6/3付】意見を育てるニュース教室:文章に「型」があることの意味

小川先生からの報告を読んで、とても興味深く感じたのは、6年生の作文指導で「型」を重視していることです。「しかし」と「だから」という2つの接続詞を使った文章の型を示し、まずはその型に当てはめて書かせる。一見、制約が多く窮屈に感じるかもしれませんが、これは実に理にかなった指導法だと思うのです。

よく「型破り」という言葉を聞きますが、これは「型」があってこそ成り立つ表現ですよね。まず基本の型を身につけ、それを自分のものにしてから、初めて型を破ることができる。茶道でも武道でも、すべて型から始まります。

文章も同じです。自由に書きなさいと言われても、多くの子どもたちは何をどう書いていいかわからず、結局支離滅裂な文章になってしまいがちです。でも、「しかし」と「だから」という接続詞を使って、対比と結論を明確にする型を覚えれば、論理的な思考の骨格が自然と身につくのです。

私がいつも思うのは、「よく練られた仕事は半ば終わったようなもの」だということです。プラトンの言葉ですが、文章を書く前の準備、つまり論理の組み立てがしっかりできていれば、文章は自然と流れ出てくるものなのです。

今回の「図書館と本屋の違い」という課題も絶妙でした。子どもたちにとって身近でありながら、対比の観点が明確に見えるテーマです。無料か有料か、借りるか買うか、静寂さか賑やかさか…様々な切り口で比較できます。

そして何より感心したのは、コメ高騰についての討論で生徒たちが見せた思考の深さです。生産者と消費者、両方の立場に立って考えられたということは、まさに多角的な視点を身につけている証拠でしょう。これこそが、日頃の「型」を意識した訓練の成果だと思うのです。

30分という短時間で次々と課題が変わり、レベルアップが求められる。一見ハードに見えますが、子どもたちがそれについてきているということは、彼らの中に確実に「考える力」の基盤が育っているということです。

型があるからこそ、その中で自分なりの工夫ができる。制約があるからこそ、創意工夫が生まれる。この 「意見を育てるニュース教室」 で身につけた論理的思考力は、きっと子どもたちの一生の財産になることでしょう。


2025/06/04 Category | blog 



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