【何のための中聞受験なのか Ep.5】「やってよかった」の声が、教えてくれること。
これまで、少し難しい心や脳の仕組みのお話をしてきました。
でも、お父さん、お母さんが一番お聞きになりたいのは、きっとそういうことではないですよね。
「それで、実際にこの大変な道を歩ききったご家庭は、どう感じているの?」
「あの子たちの心には、何が残ったの?」
そんな、旅を終えた先輩たちの「生の声」ではないでしょうか。
Z会 イマドキ中学受験情報 中学生Z会員の保護者に聞いた!中学受験アンケート調査の結果を目にしたとき、私の心は、ぱっと温かい光で満たされるような気持ちになりました。
中学受験を経験した親御さんの、実に97%が、「中学受験をして良かった」と答えていたのです。
耳を澄ますと、こんな声が聞こえてきます。
「目標を立てることの大切さと、そこに向かって努力する尊さを、親子で学ぶことができました」
「たとえ第一志望には届かなくても、最後まで諦めずにやり切った、という達成感を、あの子は確かにその胸に刻みました。その経験が自信となり、今ではどんなことにも一生懸命取り組んでいます」
なんて、力強い言葉でしょう。
これらの声が教えてくれるのは、この旅が、単なる学力テストではない、ということです。計画を立てる力、時間を管理する力、そして、苦しい時でも歯を食いしばって前に進む精神力。それらはすべて、テストの点数には表れないけれど、お子さんがこれからの人生を歩んでいく上で、何よりの杖となり、盾となる、かけがえのない力です。
そして、この冒険の主人公である、お子さん自身の声にも、私たちは心を傾ける必要があります。
「スランプに陥ったとき、焦らずに基本に戻ることの大切さが分かった」
「苦手なことから逃げるんじゃなくて、得意な科目でカバーする作戦を自分で考えた」
子どもたちは、私たちが思う以上に、この経験を通じて自分自身と向き合い、どうすれば困難を乗り越えられるか、自分なりの航海術を身につけていくのです。
そして、こんな、胸が熱くなるような言葉も。「お母さんが、僕の努力をちゃんと見て、認めてくれたのが嬉しかった」。「不安でどうしようもないとき、お父さんが黙って話を聞いてくれて、すごく安心した」。
ほら、やはりそうなのです。
お子さんの心の成長の、一番の栄養となるのは、私たち親の温かい眼差しと、寄り添う心に他なりません。
ここで、一つ、とても大切な秘密をお話ししたいと思います。
それは、お子さんの心を最も強く、深く育むのは、実は、順風満帆な成功体験「だけ」ではない、ということです。
むしろ、模試の結果に涙したあの夜や、第一志望の学校に届かなかったあの日の「挫折」を乗り越えた経験こそが、お子さんの心に、最も深く、消えない年輪を刻み込むのです。
ずっと成功だけを続けてきた子は、一見すると輝かしく見えるかもしれません。でも、その心は、まるで温室で育った花のようにもろく、一度の失敗でぽきんと折れてしまう危うさをはらんでいます。
一方で、失敗という厳しい現実に直面し、悔し涙を流し、それでも家族の支えの中で顔を上げ、再び歩き出した子は違います。
その子の心には、「自分は、失望からでも立ち直れるんだ」という、揺るぎない確信が根付きます。
この「回復できた」という経験こそが、前回お話しした「レジリエンス(心のしなやかさ)」の本質なのです。
それは、トロフィーや合格証書よりも、ずっとずっと価値のある、人生のあらゆる局面でわが子を支え続ける、本物の「宝物」なのではないでしょうか。
次回へ続く
2025/09/09 Category | blog
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