【11/4付】意見を育てるニュース教室: 子どもたちの「軸」を、信じる

先日、まなび研究所の「意見を育てるニュース教室」を担当する小川先生から、興味深い報告が届きました。

その日の授業では、「議員に立候補できる年齢(被選挙権)を引き下げるべきか」という、大人でも答えに迷うようなテーマで、子どもたちに意見をまとめてもらったそうです。

制限時間は、わずか7分。

「反対」と答えたお子さんの理由は、とても堅実でした。

「18歳では政治の知識も浅く、心配だから」

「経験や社会常識が必要だが、18歳では難しい。政治が危うい方向に行く可能性がある」

どうでしょう。

私たち大人が、真っ先に口にしそうな意見だとは思いませんか。

「子どもには、まだ早い」

そう言って、我が子を危険から守ろうとする、親としての自然な感情がそこには表れています。

一方で、「賛成」と答えたお子さんたちの意見も、実に様々でした。

「若い人の意見を反映できるようになるから」

「他国では18歳で立候補している」

「新しい風を吹き込むことが大事だと思う」

その中に、私の心を特に捉えた意見がありました。

ある女の子の、「若い人が政治に参加することで、政治に関心を持ち、首相になりたいという人が増えるかもしれないから」というものです。

私たちは「投票」という形で政治に参加しますが、彼女は「自らが政治家になる」という、もっと能動的な視点で社会を見つめていました。

小川先生の所感にもありましたが、大人が思う以上に、子どもたちは冷静に、そして多角的に世の中を見ています。

「危うさ」を心配する声も、「新しい可能性」を期待する声も、どちらも社会を構成する大切な視点です。


私たちは日々、お子さんたちに「勉強しなさい」と言います。

その「勉強」とは、多くの場合、テストの点数を上げ、偏差値を上げ、志望校に合格するための勉強を指しているのではないでしょうか。

もちろん、それは大切です。

浜松西高中等部や浜松北高といった目標に向かう努力は、お子さんを大きく成長させます。

ですが、こうしたニュース教室で行われている「勉強以外の勉強」…いわば社会との接点を持つ「ノイズ」のような学びが、お子さんの中に揺るぎない「軸」を育てる土壌になっているとしたら。

もし、ご家庭でお子さんがニュースについて何かを語り始めたとき、私たちは「そんなことより、宿題は終わったの?」と、その小さな芽を摘んでしまってはいないでしょうか。

7分間で100字の意見をひねり出す。

これは、知識を詰め込むのとは全く違う、頭の使い方です。

自分はどう思うのか。なぜ、そう思うのか。

自分の内側を深く掘り下げ、言葉を紡ぎ出す訓練です。


子どもたちは、私たちが思うよりもずっと深く考え、感じています。

「まだ早い」と私たちが線を引くことで、彼らが自ら考え、判断する機会を奪っているとしたら…それは、とてももったいないことだと思うのです。

知識や経験が「浅い」のは、当たり前です。

でも、浅いからこそ見える景色、浅いからこそ言えるまっすぐな意見があります。

お子さんたちが、テスト勉強の合間に見せる、そうした「勉強以外の勉強」のきらめき。

私たち大人は、その「ノイズ」にこそ、耳を澄ませる必要があるのかもしれません。

あなたのお子さんが持つ「軸」の種を、信じてみませんか。


2025/11/06 Category | blog 



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