「やる気がない」の正体は、勉強の”消化不良”かもしれません
中学生の勉強を見ていると、
「この子、なんだか最近調子が出ていないな」
「前はもう少し前向きだったのに、今は机に向かうのがつらそう」
と感じることがあります。
成績が大きく下がったわけでもない。
サボっている様子でもない。
けれど、どこか元気がなく、やる気も下がっている。
そんなとき、多くの保護者の方は「気持ちの問題かな」「反抗期かな」
と心配されるかもしれません。
けれど、長年この仕事をしてきて思うのです。 子どもたちの「やる気のなさ」の多くは、 気持ちの問題ではなく、勉強の”消化不良”から来ているのではないかと。
食べたものを消化できずに胃が重くなるように、 勉強も、量と理解のバランスが崩れると、 心が重くなっていくものです。
やるべきことが、毎日毎日、降り積もっていく。 「これも終わっていない」「あれも残っている」 そんな小さな不安が、雪のように積もり重なる。
そして、その中身を見てみると、 解いた問題を振り返る時間なんて、ほとんどない。 「本当にわかったのか」を確かめないまま、 また次の問題、また次のページへと進んでいる。
子どもの心の中で、こんな声が響いているのかもしれません。
「やっているのに、できるようにならない」
「こんなに頑張っているのに、自信が持てない」
「どこから手をつけたらいいのか、もうわからない」
そうなってしまえば、 机に向かう前から、心が沈んでいくのも無理はありません。
では、どうすればいいのでしょう。
答えは意外なところにあります。 勉強量を、思い切って減らすのです。
「全部やる」という呪縛から、 「これだけはやる」という選択へ。
量を減らすことは、手抜きではありません。 むしろ、本当に大切なものを見極める勇気です。
そして、やったことが本当に身についているか、 丁寧に確かめる時間を取る。つまり、復習ですね。
昨日解いた問題を、今日もう一度開いてみる。 解説を見ずに、自分の言葉で説明してみる。
たった、それだけのことです。 けれど、それが「できた」という小さな灯りになる。
この 「量を絞る → しっかりやる → 身についたか確かめる」 という、ささやかなサイクルを回し始めると、 不思議なことに、子どもの表情が変わってきます。
「今日はここまででいい」 「これはもう大丈夫」
そう言える感覚が、少しずつ、自信という光を灯していくから。
もし今、お子さんの背中が、 いつもより小さく見えるような気がしたら。
もしかしたら、それは「やる気の問題」ではなく、 心が消化不良を起こしているサインかもしれません。
そんなときは、量を増やすのではなく、 一度、減らしてみる。
勉強は、消化できてこそ、 その子の血となり肉となります。
消化の良い勉強に戻すことが、 心を、学力を、もう一度立て直す入り口ではないでしょうか?
2025/12/15 Category | blog
