算数も理科も、結局は国語で決まる。静岡・愛知の中学受験が読解力を要求する理由
公立中高一貫校や国立附属中の問題を初めて見たとき、驚かれる親御さんが少なくありません。
「算数なのに文章が長すぎる」「理科なのに、結果を読んで書かせる問題ばかり」──この違和感は、とても正常です。
この記事では、静岡・愛知エリアの入試がなぜ国語読解を土台にしているのかを、3つのエビデンス(量・認知・環境)で整理します。さらに、ご家庭で今日から実行できる読解習慣の作り方を、チェックリストにしてお渡しします。
1.文章が読めなければ、問題を解く以前にスタートできない時代
近年の入試は、知識そのものより「情報処理の体力」を強く求めています。
象徴的なのが、愛知の適性検査で話題になった文字量です。令和7年度は総量20,000字規模(原稿用紙50枚相当)という衝撃的なボリュームでした。
ここで大事なのは、算数が得意かどうか以前に「読むことに消耗しない状態」を作れているかです。
読むだけで疲れてしまう子は、設問にたどり着く前に、時間と集中力が尽きます。逆に、読むことが日常化している子は、同じ文章量でも消耗が少なく、考える時間を確保できます。
この差は、才能ではなく、習慣で作られます。
2.「国語読解を制する者は、全教科を制する」は現場の結論です
25年間、入試直前まで多くの受験生を見てきて、いちばん再現性が高かった事実があります。
合格していった子たちには、例外なく「読むことが生活に入っている」状態がありました。
算数の文章題で条件を読み落とさない。
理科の実験で「結果」と「考察」を混同しない。
社会の資料問題で、要点をつかんで捨てる情報を選べる。
そして作文で、課題文の要約と条件処理を落とさない。
これらは全部、国語の能力、正確には「文章から必要な情報を抜き出し、頭の中で構造化する力」です。
3.エビデンス1:週600分は「上位層で戦う」ための量的基準です
読書習慣が学力差を拡大する現象は、教育心理学で「マタイ効果」と呼ばれます。
読む子は語彙が増え、読むのが楽になり、さらに読む。読まない子は語彙が増えず、読むのが苦しくなり、さらに読まない。残酷なくらい差が広がります。
ルネサンス・ラーニング社の大規模調査(米国約990万人、2018年)では、1日15分の読書が一つの分岐点として示されています。15分未満は伸びが平均を下回りやすく、15分以上で伸びが安定し、30分以上で上位層に入る割合が増える傾向が見える、という整理です。
まなび研究所が提案している「週600分」は、1日平均にすると約85分です。
これは「平均点を取るため」ではなく、静岡・愛知の選抜で求められる処理能力に合わせて、日常から土台を作るための指針です。
4.エビデンス2:算数のつまずきは、計算ではなく読解で起きます
「計算は速いのに、文章題になると急に間違える」──このタイプは、努力不足ではなく、処理の仕方に原因があるケースが多いです。
Boonenら(2016)の研究で指摘されるのが、整合性効果(Consistency Effect)です。
言葉(例:少ない、多い)に反射して、文脈を作らずに式を立ててしまうと、言葉と操作が一致しない問題で誤作動が起きます。
できる子は、数字やキーワードに飛びつかず、状況モデル(頭の中の場面)を作ってから式に落とします。
この「場面を作る力」が、まさに国語読解の中核です。
だから私たちは、読解力をOS、算数の解法をアプリとして捉えます。
OS(読解)が古いまま、アプリ(テクニック)だけ増やしても、処理が追いつかずフリーズします。OSを更新すると、同じアプリでも吸収率が変わります。
5.エビデンス3:入試は「処理能力選抜」へシフトしています
静岡でも、愛知ほどの文字量ではないにせよ、要求されるのは「読み取り→条件処理→記述」の一連の処理です。
浜松西高中等部の作文では、課題文を読み要約し、条件を踏まえて600字程度で論理的に書く。
静大附属浜松中の国語は、本文に書かれていない行間を読ませる繊細な読解と構造的な記述を求める。
ここで勝負を分けるのは、直前の暗記ではなく、多読で培われる「未知のテーマを理解する力」です。読んだ量が、そのまま初見処理の安定感になります。
家庭で回せる「読解OSアップデート」チェックリスト(まずは2週間)
- 週の読書時間を先に確保する(合計600分を目標)
・平日:60分×5日=300分
・土日:150分×2日=300分
合計:600分 - 読書の中身は「難しすぎない」を優先する
・読んでいて止まりすぎる本は、いったん保留で構いません
・目安:1ページで分からない言葉が多すぎない(ストレスが少ない) - 「読んだ後」の60秒を固定する(要約ではなく、確認)
テンプレ(音読でもメモでもOK)
・今日読んだ話題は何でしたか
・いちばん大事だと思った一文はどこですか
・なぜそれが大事だと思いましたか - 算数・理科と接続する(週2回で十分)
・算数:文章題で「条件に線を引く」だけを徹底
・理科:実験問題で「結果」と「考察」を別メモに分ける - 親の役割は「管理」ではなく「環境づくり」
・読書の時間帯を固定する(夜でも朝でも可)
・スマホやテレビの誘惑を、時間だけ遠ざける
・感想を聞くより、続いた事実を一言で認める(例:今週、積み上がったね)
お子さんは「読むこと」自体で疲れてしまうタイプですか。それとも「読むことは平気だが、設問で迷う」タイプですか。
静岡・愛知の中学受験は、「知っているか」より「読み取って処理できるか」を強く問う環境に変わっています。だからこそ、算数の文章題も理科の考察も、すべての土台に国語読解があります。
週600分の読書は、精神論ではなく、処理能力を底上げするための戦略です。まずは2週間、量と環境だけ整えてみてください。読む力が安定すると、他教科の伸び方が変わります。
2026/01/12 Category | blog
« 浜松西高中等部・愛知県立明和/刈谷/時習館/半田/豊田西附属中の皆さんへ:面接試験で力を出し切るために 【ガチ徹底解説】令和8年度 浜松西高中等部 作文問題の「必勝法」 – 合格答案の条件とは? »

