【6/10付】意見を育てるニュース教室:「うちの子、一度決めたら考えを変えない」~6年生の推論クイズが教えてくれた危険な思考パターン
小川先生の「意見を育てるニュース教室」の報告を読んでいて、とても面白い発見がありました。
推論クイズをチーム戦にしたところ、6年生Aチームが全問正解、Bチームが4問、5年生が3問という結果になったそうです。
ちょっと、皆さんも一緒に考えてみませんか?
【推論クイズに挑戦】
A:20歳までビールを飲んではいけない。
B:20歳までお酒は飲んではいけない。
Aの文が正しい場合、Bの文は正しいでしょうか? ○(正しい)、×(正しくない)、△(いずれともいえない)で答えてみてください。
どうでしょう?答えが出ましたか?
実は、この問題で多くの人が引っかかるのは「常識」なんです。「20歳まで飲酒禁止」という常識があるから、つい○と答えたくなる。でも、問題はそうじゃない。
Aでは「ビールを飲んではいけない」と言っているだけです。ビールはお酒の一種ですが、お酒にはワインも日本酒も焼酎もある。ビールがダメだからといって、他のお酒もダメとは限りませんよね?
だから正解は「△(いずれともいえない)」なんです。
小川先生の分析によると、全問正解した6年生Aチームは「直観だけに頼らず、一つの観点を加えて考え、客観的視点で考え直すことができた」とのこと。つまり、常識に惑わされず、問題文をきちんと読み、図に表したりして丁寧に考えたということです。
これって、実は人生で最も大切な能力の一つだと思うんです。
私がよく話すのですが、「逆さまに考えてみる。一方向だけで考えていると、必ず行き詰まります。なかなか答えが見つからない時は、逆の方向から物事を考えてみるとよいでしょう」ということ。今回のAチームの生徒たちは、まさにこれを実践していたんですね。
先日、中学受験を控えたお母さんから相談を受けました。「うちの子は一度答えを決めると、なかなか考えを変えようとしないんです」と。その時、このニュース教室の話を思い出しました。
子どもって、自分の最初の判断に愛着を持ちがちです。「これが正解だ」と思うと、他の可能性を考えることを嫌がる。でも、それでは思考が狭くなってしまいます。
もっと大切なのは、一人で考え込まずに、他の人の意見に耳を傾けること。チームメイトが違う答えを出した時、「なぜその答えになったの?」と聞き、自分の考えを見直す勇気を持つこと。
これは受験勉強だけでなく、将来社会に出てからも必要な力です。会議で自分の意見を述べつつ、他の人の視点も取り入れて、より良いアイデアを生み出していく。そんな人材が求められているのではないでしょうか。
お子さんが一つの考えに固執している時、「他にはどんな見方があるかな?」「お母さんはこう思うんだけど、どうかな?」と声をかけてみてください。正解を教えるのではなく、考え直すきっかけを与える。そんな親子の会話が、お子さんの思考の柔軟性を育てていくのだと思います。

2025/06/12 Category | blog
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