小6中学受験・受験勉強に「空白の日」を作る意味

多くのご家庭で、お子さんのスケジュール表を見ると、月曜から日曜まできっちりと予定で埋め尽くされているのではないでしょうか。算数の問題集、国語の読解、理科の暗記、社会の年表…。親としては「少しでも多く勉強させたい」という気持ちになるのは当然です。

でも、ちょっと待ってください。

先日の 浜松西高中等部・静岡大学附属浜松中 中学受験オンラインセミナー:フォロー会(6月)で、ある保護者の方から、とても興味深い工夫を聞かせていただきました。「予定通りにできない場合に備え、日曜日の予定をあえて開けておく」というものです。これにより、月曜から土曜までの学習で生じた不足分の補充や解き直しの時間に当てることができ、理解を深めるサイクルを作れているとのこと。

この「あえて開けておく」という発想、実は受験勉強の本質を突いているんです。

車のハンドルには「遊び」があります。ハンドルをわずかに回しても、すぐにはタイヤが反応しない余裕の部分。この「遊び」があるからこそ、運転者は安全に、そして疲れることなく長距離を運転できるのです。もしハンドルに遊びがなかったら、ちょっとした振動でも車がふらつき、運転者は神経をすり減らしてしまうでしょう。

受験勉強も同じなんですね。

実際、今年中学3年生になった生徒が、こんなことを言っていました。「勉強をずっとやらないことだね」。一見矛盾しているようですが、彼が伝えたかったのは、意識的に休息を作ることの重要性でした。1週間の中にどこに休息を入れるのか、きちんと計画し、そこで自分の好きなことをやって自分の影響を養う。これが絶対的に重要だと語ってくれたのです。

古代中国の老子は「無為自然」という思想を説きました。何もしないことが、時として最も大きな力を生むという教えです。音楽でも、美しいメロディには必ず「休符」があります。音と音の間の沈黙があるからこそ、次の音がより際立って聞こえるのです。

お子さんの勉強スケジュールに「空白の日」を作ってみませんか。

その日は、予定通りにいかなかった勉強の補強に使ってもいいし、完全に勉強から離れて好きなことをしてもいい。友達と遊んでもいいし、ただぼーっとしていてもいい。

大切なのは、その「余白」があることで、お子さんの心に余裕が生まれることです。「今日できなくても、日曜日がある」という安心感。そして、その余裕があるからこそ、平日の勉強により集中できるようになるのです。

Mさんは、スケジュールをリビングに貼って「見える化」し、親子で共通認識を持つ工夫をされています。そのスケジュール表に、あえて何も書かない日を一日作ってみてください。最初は不安に感じるかもしれませんが、きっとお子さんの表情が変わってくるはずです。

中学受験は長期戦です。詰め込みすぎて息切れするよりも、適度な余白を持ちながら、持続可能なペースで歩み続けることの方が、結果的に大きな成果をもたらします。

そして何より、この「余白」の中で、お子さんは自分なりに考え、自分なりに工夫することを覚えていきます。それこそが、将来にわたって使える「生きる力」になっていくのではないでしょうか。

7月は、自分でスケジュールを立て進めていく、これをお子さん自身でPDCAサイクルを回していく状態を目指していきましょう。7月もフォロー会を開催します。うまくいっていることを皆さんで共有し、不安があれば払拭し前進していきましょう。


2025/06/30 Category | blog 



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