公立中高一貫校生のための学力推移調査で結果を出すために本当に必要なこと

お子さんが浜松西高中等部で頑張っておられる親御さんにとって、8月末日の学力推移調査(通称:学推/ベネッセ)は大きな関心事ですよね。「うちの子、ちゃんと対策できているかしら」「どんな問題が出るのだろう」と、心配は尽きないと思います。

でも、実はこのテスト、そんなに身構える必要はないんです。むしろ、お子さんにとって大切な「気づき」を得られる絶好のチャンスなのです。

学力推移調査の本当の顔

多くの親御さんが誤解されているのですが、学力推移調査は「落とすための試験」ではありません。中学3年生のこの時期に実施される調査の問題は、基本的には教科書レベルの内容が中心。応用問題も含まれますが、それらは「基礎がしっかりできていれば解ける」設計になっています。

私が長年この地域で指導していて感じるのは、成績が伸び悩むお子さんほど「特別な対策」や「高度なテクニック」を求めがちだということです。でも本当に必要なのは、もっとシンプルなこと。

それは「自分を知る」ことです。

古の知恵が教えてくれること

中国古典の『孫子』に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という有名な言葉があります。戦いに勝つためには、敵の特徴を知ると同時に、自分の実力を正確に把握することが何より大切だという教えです。

昨年、ある生徒さんのお話をしましょう。彼女は数学が得意だと思い込んでいました。普段の小テストでも良い点を取っていたからです。でも学力推移調査の過去問を解いてもらうと、基本的な計算問題は完璧なのに、文章題になると途端に手が止まってしまう。

「なぜだと思う?」と尋ねると、彼女は少し考えてからこう答えました。「式は立てられるんですが、どの公式を使えばいいのか迷ってしまうんです」

これこそが「己を知る」瞬間でした。彼女の本当の課題は、計算力ではなく「問題文から必要な情報を読み取り、適切な解法を選択する力」だったのです。

メタ認知という魔法の鍵

このように「自分の学習を客観視する力」を、教育界では「メタ認知」と呼びます。簡単に言えば、「自分が何を理解していて、何を理解していないかを知る力」です。

学力推移調査で結果を出すお子さんたちに共通するのは、この力が高いこと。彼らは問題を解く前に、まず「この問題は何を問うているのか」「自分の知識のどの部分を使えばいいのか」を冷静に分析します。

反対に、点数が思うように伸びないお子さんは、問題を見た瞬間に「解法パターン」を探そうとします。でもパターンが見つからないと、すぐに諦めてしまう。

この違いは、実は普段の学習姿勢から生まれています。

間違いは宝物だということ

「うちの子、間違いを嫌がって困ります」という相談をよく受けます。でも間違いこそ、お子さんの成長にとって最も価値のある情報なんです。

間違えた問題をもう一度解かせるだけでは、あまり意味がありません。大切なのは「なぜ間違えたのか」を分析すること。単純な計算ミスなのか、概念の理解が不十分だったのか、それとも問題文の読み取りに問題があったのか。

この「なぜ」を追求する習慣がついているお子さんは、同じような間違いを繰り返しません。そして何より、自分の学習を客観的に見つめる力が育っていきます。

調査は学びの羅針盤

学力推移調査は、お子さんの学習状況を客観的に知るための羅針盤です。結果に一喜一憂するのではなく、「今の自分の立ち位置」を確認し、「これからどこに向かって学習を進めればよいか」を明確にする機会として活用してほしいのです。

特に浜松西高中等部のような、高い目標を持って日々頑張っているお子さんたちにとって、この「立ち位置の確認」は欠かせません。自分の強みはさらに伸ばし、弱点は戦略的に補強していく。そのための貴重な情報が、この調査から得られるのです。

きっとお子さんは、この夏の学習を通して、新しい自分と出会うことでしょう。そして親御さんも、我が子の成長する姿に改めて驚かれるかもしれません。

敵を知り、己を知る。この古の知恵を胸に、お子さんの学習を温かく見守っていただければと思います。


2025/07/08 Category | blog 



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