浜松西高中等部小6受験生に告ぐ。キミの作文に「気持ち」はあるか?
毎年、浜松西高中等部を目指す小6受験生たちの作文を添削していると、そのひたむきな努力に心を打たれます。みんな、必死に課題文と向き合い、自分の体験を言葉にしようと奮闘している。その答案用紙一枚一枚から、合格への強い意志が伝わってきます。
しかし、その一方で、胸が締め付けられるような思いをすることも少なくありません。それは、素晴らしい努力や体験が書かれているにもかかわらず、その作文が誰の印象にも残らず、静かに採点の山に埋もれていってしまう光景を想像してしまうからです。
なぜ、そんな悲しいことが起きてしまうのか。
理由はたった一つ。そこに、君だけの「気持ち」が書かれていないからです。
「事実」の報告書に、価値はない
多くの作文は、「〇〇を頑張りました」「〇〇という体験をしました」といった「事実」の報告に終始してしまっています。もちろん、その努力や体験は尊いものです。しかし、入試の作文において、単なる事実の羅列は、残念ながら評価の対象にすらなりません。
考えてみてください。採点官は一日に何十、何百という作文を読みます。その中で「部活を頑張った」「苦手科目を克服した」という「事実」は、ありふれています。君が本当に伝えなければならないのは、その出来事を通して、君の心がどう動き、何を感じ、何を考えたのか、という生々しい「気持ち」の部分なのです。
心を鷲掴みにする魔法「事実+気持ち」
では、どうすれば読み手の心を動かす文章が書けるのか。答えは驚くほどシンプルです。
「事実」に、君だけの「気持ち(心の声)」を掛け合わせること。
これだけです。
読み手は、君がその行動を起こした裏側にある、ドロドロとした葛藤や、湧き上がるような喜びを知りたいのです。そこにこそ、他の誰にも真似できない君だけの「オリジナリティ」が宿ります。
例えば、
- 事実だけ:「毎日3時間、苦手な算数の勉強をしました。」
- これでは、君の体温が全く感じられません。ただの報告書です。
ここに「気持ち」を注入してみましょう。
- 事実+気持ち:「毎日3時間、苦手な算数の勉強をしました。正直、最初の頃は問題を見ても宇宙語のようで、何度もペンを投げ出したくなりました。でも、『ここで逃げたら、憧れの西中生には絶対になれない』と唇を噛みしめ、悔しさを燃料にして机にかじりついたのです。」
どうでしょうか。後の文章からは、必死に自分と戦う一人の人間の姿が、ありありと目に浮かびませんか?「悔しさ」という生々しい気持ちを描写するだけで、文章は命を宿し、読者の心を鷲掴みにするのです。
今すぐ始められる「感情の筋トレ」
この「事実+気持ち」を自在に書けるようになるための、最強のトレーニングがあります。それは「日記を書くこと」です。
何も特別なことを書く必要はありません。「今日あった出来事(事実)」と、「その時どう感じたか(気持ち)」を一行でもいいので書き留める。
「友達と喧嘩した。悲しかったし、少し腹も立った」
「テストで満点をとった。飛び上がるほど嬉しかった」
この、自分の感情に名前をつけ、言葉にする作業こそが「感情の筋トレ」です。これを続けることで、自分の心の機微に敏感になり、それを表現する語彙が増えていきます。この日々の地道な訓練が、入試本番で、君の作文に誰にも負けない深みと輝きを与えてくれるのです。
浜松西中の作文は、君という人間を伝えるための、たった一度のプレゼンテーションの場です。
「頑張った」という便利な言葉に逃げるのは、もうやめにしませんか。君だけの物語を、君の心の声と共に語ってください。その魂の叫びは、必ずや採点官の心を揺さぶり、合格へと続く道を切り拓くはずです。

2025/09/11 Category | blog
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