浜松西中・附属中を目指す親御さんへ テストの点数に一喜一憂していませんか? 焦らないで、お子さんは着実に成長しています
秋の夜長、虫の音が深く染み渡る季節となりました。窓の外に広がる静寂とは裏腹に、親御さんの心の中は、近づく本番への期待と不安で、少しざわついている頃かもしれませんね。
先日、まなび研究所では浜松西高中等部や静岡大学附属浜松中といった高い目標を目指すご家庭向けの「10月中学受験フォロー会」を開きました。画面越しに映る親御さんたちの真剣な眼差し、一つひとつの言葉に深く頷く姿に、私もまた、背筋が伸びる思いでした。そこには、お子さんへの深い愛情と、共に走り抜こうという強い意志が満ちあふれていました。
点数という「結果」の奥で、静かに育っているもの
フォロー会に先立ってアンケートをお願いしたのですが、そこには、胸が熱くなるような言葉がたくさん綴られていました。
「以前はただがむしゃらに問題を解くだけだったのが、今ではあこがれの浜松西高中等部の過去問を前に、『この大問は何分で解こう』と、自分で時間を計画するようになったんです」
「間違えた問題に対して、『なぜ間違えたのか』を自分で分析するようになりました」
「静岡大学附属浜松中の記述問題で解説を読んですぐに終わるのではなく、社会や理科の教科書を引っ張り出してきて、関連するところを夢中で読みふけっている時があります」
これらは、決して派手な変化ではないかもしれません。テストの点数が急に30点上がった、というような分かりやすいものでもないでしょう。しかし、これらの小さな、けれど確かな一歩こそが、お子さんの内側で「学ぶ力」そのものが育っている何よりの証拠なのです。 点数という目に見える「結果」の奥で、思考のプロセスという、これから先の人生を支える大切な「根っこ」が、深く、広く、張り始めている。私たちは、その静かな成長の音に、耳を澄ませていたいと思うのです。
「あなただけじゃない」という安心感
もちろん、すべてが順風満帆なわけではありませんよね。アンケートでは、実に半数以上のご家庭が「時間配分がうまくいかない」という悩みを抱えていることが分かりました。 「また時間切れだった…」とお子さんが肩を落とす姿を見るのは、親としても辛いものです。
でも、どうか安心してください。これは、ほとんどの受験生が通る道です。そして、この「時間」という壁にぶつかっていること自体が、お子さんが次のステージへ進もうとしている証でもあるのです。
興味深いことに、あれほど多くのご家庭が時間配分に悩む一方で、「モチベーションの維持」を課題に挙げたご家庭は、一軒もありませんでした。 これは、本当に素晴らしいことです。夏を乗り越え、子どもたちは、誰に言われるでもなく、自分の意志で机に向かい始めている。心の中に「合格したい」という静かで熱い炎が灯り、本格的な「受験生」の顔つきになってきた、ということなのでしょう。
食卓での会話が、記述力を育む?
フォロー会では、少しドキッとするようなお話もしました。それは、家庭での何気ない会話についてです。
例えば、お子さんが「ただいま!ねぇ、何か美味しいものある?」と聞いてきた時。
私たちはつい、「そんなことより、宿題は終わったの?」と返してしまいがちです。
この会話の、ほんの少しの「ズレ」。
お子さんが投げかけたボールと、私たちが投げ返したボールが、少しだけ違う方向へ飛んでいってしまう。こうした経験が積み重なると、子どもたちはいつしか、問題文で問われていることと、自分が書くべき答えとの間に「ズレ」があることに気づけなくなってしまうのかもしれません。
作文の答案用紙に向かう時間は、もちろん大切です。しかし、それと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、食卓を囲みながら交わされる日々の会話が、お子さんの思考力や表現力を豊かに育む土壌になっているとしたら。
お子さんの問いに、まっすぐ向き合って答えていますか。
「あれ」「それ」といった言葉に頼らず、具体的な言葉で語りかけていますか。
浜松西高中等部や静岡大学附属浜松中への道は、一直線の坂道をただ駆け上がっていくレースではありません。一歩進んでは、半歩下がる。くるりと回り込んで、さっきより少し高い場所から、違う景色を眺める。そんな、螺旋階段をゆっくりと登っていく旅路に似ているのかもしれません。
私たちが開くフォロー会は、その螺旋階段の、ほんの小さな「踊り場」のような場所です。少しだけ足を休めて、今いる場所を確かめ、次の一歩をどこに踏み出すか、親子で一緒に考える。そんな時間になればと願っています。
焦らなくて大丈夫ですよ。お子さんは、お子さん自身のペースで、確実に成長の階段を登っています。
私たちは、いつでもここで伴走しています。
2025/10/07 Category | blog
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