静大附属浜松中入試①:試験科目の順番が変わる。ただ、それだけのことに胸がざわめく理由。

試験科目の順番が、来年から変わる。

附属浜松中の令和8年度の入試で、これまで2番目だった算数が、1番最初に来る。

国語と算数の順番が、ただ入れ替わる。

多くの方にとっては、「ふーん、そうなんだ」で終わるような、本当に些細な、小さな小さな変更かもしれません。毎日お仕事や家事に追われ、お子さんの日々の生活を支えることに心を尽くされている中で、入試の細かな変更点まで気に掛ける余裕はない、というのが正直なところかもしれませんね。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

けれど、私の心は、この小さな変化の知らせを聞いたときから、静かに、でも確かに、ざわめいているのです。これは、単なる事務的な変更などではない。学校が、私たち保護者と、未来を担う子どもたちに向けて発している、非常に重要で、深い意味を持つメッセージなのではないか、と。

少しだけ、私の話にお付き合いいただけないでしょうか。

私たちは日々の生活の中で、無意識に「順番」に意味を込めています。

例えば、誰かに何かを伝えるとき。一番大切なことは、一番最初に話しませんか? 会議の議題も、最も重要で、最も議論を尽くすべきものが、冒頭に設定されるはずです。朝一番、頭がすっきりと冴え渡っている時間に、あなたならどんな仕事から手をつけますか? きっと、最も集中力と思考力を要する、大切な仕事を選ぶのではないでしょうか。

順番とは、すなわち「優先順位」の現れです。

今回の変更を、この視点から見つめ直してみると、どうでしょう。

学校側が、入試という特別な日に、最も頭がフレッシュで、エネルギーに満ち溢れた状態で、子どもたちに解いてほしいと願う科目が「算数」になった。

この事実は、私たちに何を語りかけているのでしょうか。

私は、これは「計算が速い子、公式をたくさん知っている子を求めている」という単純な話ではない、と直感しています。むしろ、その逆かもしれません。算数という科目が持つ本質的な力。つまり、未知の問題に直面したときに、情報を整理し、粘り強く考え、自分なりの道筋を立てて答えを導き出そうとする力。その、論理的思考力や問題解決能力の「原石」そのものを見たい、という学校からの静かな、しかし、確固たる意志の表明のように感じられてならないのです。

それは、これからの予測困難な社会を生き抜くために、子どもたちに絶対に身につけてほしい「主体性」であり、簡単には諦めない「やり抜く力」そのものです。ペーパーテストという限られた時間の中で、その力の萌芽を、学校は何よりもまず最初に見極めたい。そんな熱意すら感じます。

この変化を知って、「うちは算数が苦手だから、どうしよう」と、不安な気持ちになられた方もいらっしゃるかもしれません。その胸の痛みも、私にはよく分かります。

でも、見方を変えれば、これは私たち親子にとって、一つの大きなチャンスでもあるのかもしれないのです。

目先の点数や偏差値という「結果」だけを追いかけるのではなく、お子さんが一つの問題にじっくりと向き合い、ああでもない、こうでもないと試行錯誤している、その「過程」そのものに価値を見出すチャンス。答えが合っているか間違っているかだけでなく、「どうしてそう考えたの?」とお子さんの思考のプロセスに寄り添い、対話するきっかけになるかもしれない。

私たち親が、お子さんの「考える筋肉」が育っていく様子を、焦らず、温かく見守ること。それこそが、学校が発するメッセージの、本当の意図に応えることになるのではないでしょうか。

この「順番の逆転」というテーマ、実はまだまだ奥が深いのです。お子さんの日々の学習戦略や、私たち親の関わり方にまで、静かに、しかし、確実に影響を与えていきます。

この話の続きは、これから3回にわたって、少しずつお話しさせてください。

今日はまず、この「小さな、でも、とてつもなく大きな変化」の事実を、心の片隅に置いていただけたら、とても嬉しいです。

もし、胸の中の不安や疑問が、さざなみのように広がっていくのを感じたら。

どうぞ、いつでもお話しにいらしてください。正解は一つではありません。あなたとお子さんだけの、静岡大学附属浜松中合格を、一緒に見つけるお手伝いができれば、これほど嬉しいことはありません。


2025/10/07 Category | blog 



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