「読書祭り 1冊読み切りチャレンジ2025」お疲れ様でした! & イベント総括レポート

「読書祭り 1冊読み切りチャレンジ2025」、ご参加くださった皆さん、本当にお疲れ様でした。

2週間という短いようで長い時間、日常の忙しさの中で1冊の本と向き合い、最後まで「走りきった」こと。その挑戦そのものに、心からの拍手を送ります。

「みんなも今、読んでいるんだ」という不思議な一体感や、「宣言しちゃったから」という心地よいプレッシャーが、皆さんの背中をそっと押してくれたのかもしれませんね。

読み終えた今、「ホッとした」という方もいれば、「逆に火がついて、次の本を探している」という方もいるでしょう。どちらも、とても自然な心の動きです。

さて、イベントが終わると、魔法が解けたように日常が戻ってきます。

「子どもに本を読んでほしいと願うけれど、当の本人がなかなか手に取ってくれなくて」 「本当は、私自身がもっと読まないといけないとは、わかっているんですが…」

そんな風に、少しだけうつむいてしまうお母さん、お母さんの顔が目に浮かびます。

私たちはなぜ、こんなにも「読書」を大切に思い、そして「我が子に本を」と願うのでしょうか。

私は日々、浜松西高中等部や浜松北高といった高い壁に挑む子どもたちと、真剣に向き合っています。彼らが複雑な入試問題を解き明かしていく姿を見ていると、いつも確信することがあります。

それは、難しい公式や年号を覚える「賢さ」 のずっと手前に、もっと深く、もっと大切な「土台」がある、ということです。

それは、「言葉の力」です。

問題文に込められた意図を、深く、正確に読み解く力。 自分が考えたことを、相手に伝わる的確な言葉で表現する力。

この土台がふかふかで豊かでなければ、どれだけ立派な知識を上から詰め込もうとしても、すべて砂上の楼閣のように崩れ去ってしまいます。

では、その「言葉の力」という土台は、一体どこで育まれるのでしょう。

それは、ドリルやテスト勉強の中ではありません。 私は、家庭の中にこそ、その源泉があると思っています。

お父さん、お母さんが、1冊の本と向き合う。 そこで出会った新しい言葉、心を揺さぶられた表現、これまで知らなかった世界の視点。

そうしたものが、食卓での何気ない会話や、お子さんにかける言葉の端々に、自然と滲み出てくるのです。

「勉強しなさい」と100回繰り返すよりも、親である私たちが、リビングで夢中になって本を読んでいる。その背中を見せること。

それこそが、お子さんにとって最も強力な「やってみよう」という動機づけ になるのではないでしょうか。

それは、強制でも放任でもない、子どもの「主体性」 を静かに、深く育む環境づくり です。

親が月に1冊、本を読む。 この小さな、けれど確かな習慣 が、お子さんの未来を支える「一生の財産」 となる言葉の土壌を耕していく。

これ以上に、確実で、効果の大きな「レバレッジ」 の効いた子育てが、他にあるでしょうか。

今回のイベントは、ゴールではなく「きっかけ」に過ぎません。

少し疲れたら、休んでもいいのです。本は、いつだって逃げたりしませんから。 また心が求めたときに、そっとページを開けばいい。

皆さんがこのチャレンジで出会った本は、どんな物語でしたか? そこでどんな発見があり、どんな風に心が動きましたか?

もしよろしければ、今度ぜひ、そんな皆さんの「物語」を私にも聞かせてください。私は、誰かの心が動いた瞬間の話に触れるのが、何よりも好きなのです。


2025/10/20 Category | blog 



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