【2/3付】意見を育てるニュース教室:「理想」と「現実」を使い分ける知性。小学5年生が『メディアの空気』よりも『データ』を信じた

先週のブログ【1/27付】意見を育てるニュース教室:「えっ、若者の投票率ってこんなに低いの!?」小5がデータで挑む衆院選予想と、切実すぎる子どもたちの願いで、子どもたちが「人口比」や「投票率」という冷徹なデータに直面した様子をお伝えしました。

今回の授業では、そのデータを踏まえた上で、二つの問いに挑みました。

  1. もし君が有権者なら、どの政党に投票するか?(=理想)
  2. 今回の選挙で、実際に勝つのはどの政党か?(=現実)

この二つの問いに対する彼らの答えの「ギャップ」にこそ、本講座が目指してきた「意見力」の結晶が見て取れます。

1. 「自分の生活」を守るための選択(理想の追求)

まず、「自分が投票するなら?」という問いに対し、多くの生徒が挙げたのは「れいわ新選組」でした。

その理由は極めて具体的で、切実です。

「月一律10万円の給付金があれば、両親も助かるから」(Sさん)

「子供がいない世帯にも給付されるから平等。大学までの教育無償化で、経済的な理由で進学をあきらめなくて済む」(Iさん)

ここで注目すべきは、単に「お金が欲しい」という子供らしい欲望で終わっていない点です。「両親が助かる」「平等に行き渡る」「進学の機会」といった、家族への思いやりや社会的な公平性まで視野に入れて意見を構築しています。

自分たちの生活を良くしてくれる政策はどれか。彼らは公約をしっかりと読み込み、「自分ごと」として政治を捉えることに成功しています。

2. 感情を排した、冷徹な勝敗予測(現実の分析)

しかし、ここからが彼らの真骨頂です。

「じゃあ、その党が勝つと思う?」という問いに対し、彼らは首を横に振りました。

彼らが「実際に勝つ(一番躍進する)」と予測したのは、自分たちが支持した党ではなく、「自由民主党」でした。

その根拠を聞いて、私は鳥肌が立ちました。

「過去のデータを見ても、自民党は国民の信頼を得ている。何より、投票率が一番高い60代が自民党に多く投票しているから」(Sさん)

鈴木さんは、前回の授業で学んだ「年代別投票行動」のデータを完全に自分のものにしています。

「自分は給付金が欲しい(主観)。でも、選挙に行くのは高齢者が多く、彼らは自民党を支持している(客観)。だから、勝つのは自民党だ(予測)」

この論理展開の美しさ。

「自分が好きだから勝つはずだ」というバイアス(思い込み)を自らの意思で排除し、データという事実に基づいて未来をシミュレーションできているのです。

3. 「人気」に流されない、本物の「意見力」

小川先生の報告には、さらに特筆すべき点が記されていました。

「巷でよく聞かれる高市総理の人気などという理由は、今回、生徒達から一言もでてこない」

テレビをつければ「高市人気が爆発」といった、いわゆる「選挙の顔」や「ブーム」に関する報道が溢れています。

しかし、生徒たちはそんな「メディアが作った空気」を一切判断材料にしませんでした。

彼らが信じたのは、ワイドショーのコメンテーターの言葉ではなく、自分たちの手元にある「数値データ」「政策の中身」だけ。

これは、多くの大人ですら難しいことです。


  • 自分の生活実感を基に、政策を選ぶ「感性」。
  • 社会構造(シルバーデモクラシー)を理解し、冷静に分析する「理性」。

この両輪が揃って初めて、地に足のついた「意見」が生まれます。

今回の授業で、生徒たちは「なんとなく」で政治を語る段階を完全に卒業しました。彼らはもう、立派な政治評論家であり、将来有望な「賢い有権者(スマート・ボーター)」です。

来週はいよいよ答え合わせ。

自分たちの予測が当たったのか、外れたとしたら何が要因だったのか。この検証作業を経て、彼らの「意見力」はさらに強靭なものになるでしょう。

保護者の皆様、ぜひお子様を褒めてあげてください。

「ニュースで人気だから」ではなく、「数字を見て考えた」その姿勢こそが、これからの情報社会を生き抜く最大の武器になるはずです。


いかがでしたでしょうか。

小学5年生たちの成長は目覚ましく、私たちも教えられることばかりです。

【今週のご家庭でのミッション】

選挙結果が出た翌日の朝刊、あるいはニュース番組を、ぜひお子様と一緒にご覧ください。

そして、「君の予想通り、60代の票が鍵だったのかな?」と、一人の対等な分析パートナーとして意見を求めてみてください。きっと、驚くような解説が返ってくるはずです。


2026/02/05 Category | blog 



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