【1/27付】意見を育てるニュース教室:「えっ、若者の投票率ってこんなに低いの!?」小5がデータで挑む衆院選予想と、切実すぎる子どもたちの願い

日々、刻々と変化する社会情勢の中で、子どもたちが「社会」をどう捉え、どう関わっていくべきか。「意見を育てるニュース教室」では、単なる知識の習得にとどまらず、自らの頭で考え、意見を持つ力の育成に主眼を置いています。

担当の小川先生より、授業報告が届きましたので、私自身の考察も交えながら、教室での子どもたちの様子をお伝えしたいと思います。


今回のテーマは、現在進行形の政治課題である「衆議院議員選挙」です。

(※授業の設定として、第51回選挙における高市氏の去就を予想するという、実践的なシミュレーションを行っています)

これまで子どもたちは、ニュースや周囲の大人たちの会話といった「印象」や「空気感」から意見を形成することが多くありました。しかし、今回の授業で私たちが目指したのは、そこからの脱却です。

「客観的なデータという武器を持ち、論理的に未来を予測する」

小学5年生には少し背伸びをした課題かもしれませんが、彼らはその壁を越えようと懸命に思考を巡らせてくれました。

1. 主観から客観へ。6つのデータが示す「現実」

今回の授業の白眉は、徹底したデータ主義にあります。

小川先生は、なんとなくの予想を許さず、前回の衆院選(第50回)に関する以下の6つの詳細な資料を提示しました。

  1. 各政党の獲得議席数
  2. 比例代表の獲得票数
  3. 年代別の比例代表の投票先
  4. 過去5回の各政党の獲得票数の推移
  5. 年代別の投票率
  6. 全人口に対する選挙権を持つ年代の割合

大人が見ても読み解くのに骨が折れる資料です。しかし、これらを読み解く過程で、生徒たちは日本の選挙構造における「ある冷徹な事実」に直面することになります。

特に「⑤年代別の投票率」「⑥人口の割合」を重ね合わせた時です。

人口が多く、かつ投票率も高い高齢者層。一方で、人口が少なく、投票率も低い若年層。

「これでは、政治家は誰の声を聞こうとするのか?」

講師の解説を聞きながら、子どもたちは「数が力を持つ」という民主主義の側面と、自分たちの世代の声が届きにくい構造的な要因を、肌感覚ではなく「数値」として理解しました。この「気づき」こそが、将来の有権者としての土台となります。

2. 子どもたちの切実な叫びと、鋭い生活者視点

データの裏付けを得た上で、次に「自分たちは今回の選挙に何を求めるか」という議論を行いました。ここでの生徒たちの発言には、私自身、ハッとさせられるものがありました。

彼らは「子ども」であると同時に、社会経済の影響をダイレクトに受ける「生活者」でもあります。

■「手間のコスト」まで見抜く感性

T君の意見には驚かされました。

「食料品の消費税の廃止を求めたい。家計の負担であることはもちろんだが、支払いにおいて計算が煩雑であり、手間がかかる」

単に「高いから嫌だ」ではなく、「計算の手間」という見えないコストにまで言及する視点は非常に鋭い。社会の非効率さに対する本質的な指摘と言えるでしょう。

■ 迫りくる物価高への危機感

Sさんをはじめ、多くの生徒が口にしたのが「物価高対策」です。

「食料品、ガソリンなどの物価がこれ以上高くなると、購入するのが難しくなる」

「特にガス、電気代を安くして欲しい。多くの人が関係するものであり、効果が大きいから」

ご家庭での会話や、スーパーでの買い物の様子を、彼らは実によく見ています。「多くの人が関係するから効果が大きい」という発想は、政策立案における「費用対効果」の視点そのものです。

3. 「自分ごと」化する瞬間:子ども手当への関心

そして、教室の熱量が一段階上がったのが「子ども手当」の話題でした。

「子ども手当を2万円に増額してほしい」

この具体的な金額が出た時、生徒たちの目の色が輝いたと報告を受けています。

これを「現金な話だ」と笑うことはできません。小川先生も所感で述べていますが、「自分に利益があるから興味を持つ」というのは、政治参加の最も原初的で、かつ強力な動機です。

「2万円が支給されたら何ができるか」を想像し、それを実現してくれる政党はどこかを探す。

このプロセスを経ることで、遠い世界の話だった「政治」が、自分たちの生活を豊かにするための「手段」へと変わります。このパラダイムシフトが起きたことこそ、今回の授業の最大の成果と言えるでしょう。

4. 次なるステップ:理想(公約)と現実(データ)の照合

今週の授業で、生徒たちは以下の3点を獲得しました。

  1. 現状の分析(データ読み解き)
  2. 構造の理解(世代間格差の認識)
  3. 意思の表明(自らの要望の言語化)

次週までの課題は、「各政党の公約調べ」です。

今回出し合った「物価高対策」や「子ども手当」といった切実な願いに対し、各政党がどのような回答(公約)を用意しているのか。そして、授業冒頭で学んだ「投票率の高い層」に向けた公約と、どうバランスが取られているのか。

来週は、生徒たちが持ち寄った公約情報と、今回のデータを掛け合わせ、いよいよ本格的な選挙結果の予想に入ります。

小学5年生が、大人顔負けのデータ分析と生活実感を持って導き出す「日本の未来予想図」。

どのような結論に至るのか、私自身も非常に楽しみにしております。

保護者の皆様におかれましても、今週はぜひご家庭で「どの政党のどんな公約が気になる?」と問いかけてみてください。おそらく、以前よりも具体的で、論理的な言葉が返ってくるはずです。その成長を、共に温かく見守っていただければ幸いです。

教室で取り上げたニュースや、子どもたちの学びの様子をブログでご紹介しています。ぜひご覧ください。

2026/01/28 Category | blog 



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