【実録】「天声人語」をどう読むか?~国語読解プライベートレッスンの現場より~
まなび研究所の 国語読解プライベートレッスン では、朝日新聞の看板コラム「天声人語」を教材として使用することがあります。
なぜなら、わずか603字の中に起承転結があり、筆者の強烈なメッセージ(センターピン)が隠されているからです。
今回のレッスンでは、硬軟異なる2つの記事を扱いました。「鷽(うそ)替え神事と政治」という硬派な記事 。 そしてもう一つは、私たち日本人に馴染み深い「パンダの歴史(シャオシャオとレイレイ再見)」の記事です 。
ある中学生とのセッションで、非常に質の高い「読み」の場面がありましたので、その一部をシェアします。
亀戸天神の「鷽(うそ)替え神事」と政治の共通点とは?
① 「構造」で見抜く
記事は、亀戸天神の「鷽(うそ)替え神事」の話題から始まり、昨今の政治家の「嘘」への批判へと展開します 。 多くの生徒は、ここで「悪い政治家への悪口」という感想で止まってしまいます。
しかし、今日の生徒さんは違いました。 彼女は記事を以下の3つに構造分解しました 。
- 前半: 神事の紹介
- 中盤: 政治家の批判
- 後半: 読者へのメッセージ
そして、「筆者が一番言いたいこと(センターピン)」として、政治批判の部分ではなく、記事の結びにあるこの一文を選び抜きました。
「見極める目と耳がいつにも増して必要だ」
「政治家が悪い」で終わらせず、「それを選ぶ私たちに眼力が必要だ」という自分事としてのメッセージを受け取ったのです。論理構成を把握していなければできない芸当です。
② 「言葉」の解像度を上げる
レッスンでは、言葉の正確な定義にもこだわります。 今日の記事に登場した「白紙委任(はくしいにん)」という言葉 。
彼女は最初、これを「選挙で何も書かずに投票すること(白票)」とイメージしていました。 しかし、文脈から検討し、「条件をつけずに相手に全て任せること」という正しい意味を掴みました 。
「言葉を知らない」ということは、意図せず誰かに主導権を渡してしまうことになりかねません。
一つひとつの言葉の定義を大切にすることは、自分の身を守る武器にもなります。
③ 「背景」への問い
さらに嬉しかったのは、彼女からの質問です。 記事に出てきた俳句の作者について、「先生、この人はいつの時代の人ですか?」と尋ねてくれました 。
単に文字を目で追うだけでなく、「その言葉が発せられた時代背景」まで想像を巡らせようとする深い読解力。
「パンダ」のニュースから、何を読み取るか?
「当たり前」を疑う視点
レッスンの中で、生徒さんがハッとした表情でこう言いました。
「パンダは動物園に行けばいて当たり前だと思っていました。でも実は、外交や歴史という文脈の上にある『期間限定の物語』だったんですね」
彼女はこれまで、「パンダ=動物園の人気者」という表面的な認識しか持っていませんでした。 しかし記事を読み解く中で、パンダの存在が日中関係や外交の歴史と深く結びついていることに気づき、認識の甘さを痛感していたのです 。
「動物園にいるのが当たり前」という思い込み(常識)を疑い、その背景にある事情に目を向ける。 これは、彼女にとって大きな収穫でした 。
「なぜ?」が知的好奇心の扉を開く
この「背景を知りたい」という欲求は、もう一つの記事「鷽(うそ)替え神事」の読解でも発揮されました 。
彼女は、「なぜ悪いことを『嘘』にして吉に転じるという由来が生まれたのか?」と、記事には書かれていない起源にまで興味を示しました 。 また、記事に出てきた俳句の作者についても、「この人はいつの時代の人ですか?」と質問を投げかけてくれました 。
単に文字を追うのではなく、「なぜ筆者はこの言葉を選んだのか?」「この背景にはどんな時代があったのか?」と思考を巡らせる姿勢 。
ご家庭でできる「ニュースの深掘り」
ニュースでパンダの話題が出たら、ぜひお子さんにこう問いかけてみてください。
「なぜ、パンダは中国に帰らなきゃいけないんだろう?」
答えを教える必要はありません。 大切なのは、「当たり前」を疑い、自分の頭で考え、事実を確かめようとするプロセスそのものです 。
変化の激しい時代において、表面的な情報に流されず、「見極める目と耳」を持つこと 。 パンダのニュース一つとっても、その目を養う絶好の教材になるのです。
まなび研究所の国語レッスンは、ただ文章を読んで問題を解くだけではありません。
「なぜ筆者はこの言葉を選んだのか?」「この背景には何があるのか?」を徹底的に対話します。
「当たり前」を疑い、自分の目と耳で事実を見極める力。
それを育てるのが、私たちのプライベートレッスンです。
2026/01/29 Category | blog
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