読書感想文がスラスラ書ける4つの質問
7月も残り少なくなって、お母さんたちからよく聞こえてくるのは「うちの子、読書感想文が全然進まなくて…」という溜息です。原稿用紙を前に「面白かった」から先に進めない我が子を見て、ついつい「もっと詳しく書きなさい」なんて言ってしまう。でも、そもそも「詳しく」って何を書けばいいのか、子どもたちには見当もつかないんですよね。
実は読書感想文って、お子さんが本と対話した証なんです。その対話を引き出すための4つの質問をお伝えしますね。
本と心で話すための4つの質問
読みながら、お子さんにはこんなふうに本に問いかけてもらいましょう。付せんでも読書ノートでも、とにかく心が動いた瞬間を逃さないことが大切です。
| 質問 | なぜこの質問? | 例えばこんなメモ |
|---|---|---|
| ① いちばん心がざわついた場面はどこ? | 感動は必ずページの向こうに隠れている | p52:主人公が初めて海を見て立ちすくんだ場面 |
| ② そのとき登場人物は何を抱えていた? | 人の心の動きを読み取る力を育てたい | 不安でいっぱいだったけど、だんだん希望に変わった |
| ③ 自分だったらどうしただろう? | 他者と自分を比べることで自分が見えてくる | 私なら怖くても友達の手を引いて一緒に海に向かう |
| ④ この本と出会って自分の中で何かが変わった? | 読書の本当の価値はここにある | 新しいことに挑戦するのって、実はワクワクすることかも |
先日、小学5年生の女の子が『西の魔女が死んだ』を読んで「おばあちゃんみたいに、私も毎日を丁寧に生きてみたい」と書いてくれました。きっと彼女の中で何かが静かに芽吹いたんでしょうね。
心の動きを文章にするテンプレート
メモが心に溜まったら、こんなふうに文章にしてみてください。
①【なぜこの本を手に取ったのか】
私が『書名』を読もうと思ったのは、〇〇だったからです。
②【心がざわついた場面】
読んでいて、いちばん心に残ったのは(場面の説明)でした。
そのとき(登場人物名)は、(感情)を抱えていたと思います。
③【自分ならどうする?】
もし私がその場にいたら、(自分の行動)と思います。
なぜなら、(理由)だからです。
④【本と出会って変わったこと】
この本を読み終えて、私は(気づいたこと・学んだこと)。
これからは(具体的にやってみたいこと)してみようと思います。
⑤【この本の魅力】
『書名』は、(この本ならではの魅力)な一冊でした。
目安は①50字、②③各150字、④80字、⑤20字。でも字数なんて二の次です。お子さんの心が動いたなら、それを大切にしてあげてください。
本当に大切なのは「型」じゃなくて
文章には確かにコツがあります。「質問→答え」の順で書けば迷子になりませんし、引用は短めにした方がお子さん自身の言葉が光ります。音読すれば不自然な箇所はすぐに見つかるでしょう。
でも、親御さんに一つお聞きしたいんです。お子さんが本を読み終えたとき、どんな顔をしていましたか?
読書感想文って、実は技術じゃないんですよね。お子さんが物語の中で誰かと出会い、何かを感じ、少しだけ世界の見方が変わる。その小さな変化を言葉にする作業です。
「上手に書けた感想文」より「心から書いた感想文」の方が、きっとお子さんの財産になります。完璧じゃなくていい。お子さんらしい言葉で、お子さんなりの発見が綴られていれば、それで十分じゃないでしょうか。
読書は一生の友達づくり
夏休み最後の宿題に追われているお子さんも多いでしょう。でも、もしかすると今回の一冊が、お子さんにとって特別な本になるかもしれません。
本との出会いは、人との出会いに似ています。最初はよそよそしくても、だんだん心を開いて、最後には「この本に出会えてよかった」と思える。そんな体験を、一つでも多くお子さんに贈ってあげたいですね。
2025/07/31 Category | blog
« 【7/22付】意見を育てるニュース教室:うちの子は戦争を知らない~でも、それで本当にいいのでしょうか? 夏休み7日目の小さな立ち止まり~浜松北高への道のり~ »
