【11/18付】意見を育てるニュース教室:ため息をつく大人、希望を見つける子どもたち。「値上げ」のニュースが教えてくれたこと

「意見を育てるニュース教室」を担当している小川先生からの報告書を読み、私は思わず、姿勢を正しました。そこに記されていたのは、私たち大人が忘れてしまいがちな、しなやかで逞しい「心の在り方」だったからです。

今回のテーマは「食品の値上げ」です。

連日のニュースで、ため息をついている大人も多いのではないでしょうか。

教室では、子どもたちがその原因を深く掘り下げていました。

T君やTさんが指摘した「気候変動による不作」、Y君やT君が挙げた「ウクライナ情勢や鳥インフルエンザ」、そして円安の影響。世界で起きている複雑な事象が、自分たちの食卓に繋がっていることを、彼らは驚くほど冷静に捉えています。

しかし、私が本当に心を揺さぶられたのは、そこから先です。

彼らは「大変だ、困った」と嘆くだけでは終わりませんでした。

Tさんは「イカの代わりにコンニャクを使ったり、カカオ無しのチョコなど、代替品で対応すればいい」と発想を転換させました。

SさんやSさんは、「学校給食は安くて栄養価が高い。そのメニューや工夫を家庭料理に取り入れよう」と提案しました。

この柔軟な発想、どうでしょう。

小川先生は報告書の中でこう記しています。

「マイナスにばかり目を奪われず、その状況からチャンスを見出そうとする気持が感じられる」と。

まさに、これこそが「生きる力」の本質ではないでしょうか。

私たち大人は、経験を積めば積むほど、できない理由を探すのが上手になってしまいます。「不況だから」「忙しいから」と、環境のせいにしてしまうこともあるかもしれません。

けれど、お子さんたちは違います。「じゃあ、どうすれば楽しくなる?」「どうすれば解決できる?」と、自分ができることに目を向け、チャンスを作り出そうとしているのです。

これこそが、私が常々お伝えしている「社会課題を解決しようとするアイデア」の芽生えであり、どんな環境でも道を切り拓く「グリット(やり抜く力)」の原石です。

お子さんの心の中には、私たちが思う以上に、強く、温かい「奉仕の精神」や「創造性」が宿っています。

「コンニャクをイカに」なんて、思わずクスッとしてしまうような可愛らしいアイデアの中にさえ、困難を笑い飛ばして乗り越える、人間としての強さが隠されているのです。

お父さん、お母さん。

お子さんの言葉に、少しだけ耳を傾けてみてください。

彼らは、私たちが不安に感じる未来の中にさえ、希望の光を見つける天才です。

テストの点数や偏差値といった「賢さ」も、もちろん大切です。けれど、それ以上に大切なのは、こうした「状況を好転させるマインド」ではないでしょうか。

お子さんが見せているその頼もしい変化を、どうか見逃さないであげてください。そして、「あなたなら、どんなピンチもチャンスに変えられるね」と、その背中を信じて見守ってあげてほしいのです。

そんなお子さんたちの成長が、私は楽しみでなりません。

彼らならきっと、私たちがまだ見たことのない素晴らしい未来を、その手で創り上げてくれるはずですから。


2025/11/20 Category | blog 



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